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サシバエに刺されたら人はどうなる?牛にたかるハエの正体と対策を解説

サシバエに刺されたら人はどうなる?牛にたかるハエの正体と対策を解説

牛の脚やお腹まわりに小さな黒いハエが群がっている光景を、テレビやネットニュース等で見たことはありませんか?それが「サシバエ」です。

見た目はイエバエにそっくりですが、針のような口で牛や馬の血を吸う“刺すハエ”。人の肌にも刺してくるため、牧場だけでなく屋外活動時にも注意が必要です

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この記事ではそんなサシバエの生態から人・家畜への被害、そして実際に効果のある対策までを徹底解説します。

サシバエはただの「うるさいハエ」ではありません。家畜のストレスや乳量低下を招き、場合によっては病気を媒介することもあり。しかし正しい知識と対策を知っていれば、被害を大きく減らすことができます。

この記事では畜産現場の実例や大学の最新研究も交えながら、家庭でもできる防除方法を分かりやすくご紹介。読み進めることで、サシバエの正体や対策の全体像がしっかり理解できるはずです。

この記事のポイント

  • サシバエの生態とイエバエ・ブヨとの違い
  • 人や牛が刺されたときの症状と痛みの原因
  • 殺虫剤・ネット・ハッカ油など実践的な対策
  • サシバエの天敵「キャメロンコガネコバチ」

人が刺されたら痛い?サシバエの生態とウシ対策|牛にハエがたかる理由

人が刺されたら痛い?サシバエの生態とウシ対策|牛にハエがたかる理由
  • 大きさや生態の特徴
  • 牛にたかるのはなぜ?
  • イエバエとの違い
  • ブヨとの違い
  • 日本での生息地は北海道?
  • 幼虫はどこにいる?
  • 牛のストレス対策
  • 馬や豚などの家畜も狙う?

大きさや生態の特徴

サシバエとは|大きさなど生態の特徴を解説
出典:マイナビ農業

冒頭でも述べた通り、牛に群がる小さなハエの正体が「サシバエ」です。見た目はイエバエ(家蠅)に似た灰黒色のハエで、体長は約4~6mmほどと小柄です

最大の特徴は口が針のように尖って前方に突き出している点で、この口吻で家畜の血を吸います。イエバエ科に属しますが、同科のハエで吸血する種類は稀で、サシバエ族は雌雄ともに哺乳類の血液を常食としています。

つまりオスもメスも牛や馬などにとまり、皮膚に口針を刺して吸血。その際、人間がそばにいればターゲットになる可能性あり。刺されると小さな傷口から血を吸い取られるため、牛だけでなく人も痛みを感じます。

サシバエは牛白血病ウイルスなど家畜の病気を媒介する害虫としても知られ、畜産農家にとって大きな悩みの種。また幼虫は牛舎周辺の古い糞や堆肥など、湿った有機物の中で発生します。

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成長サイクルは短く、卵から成虫になるまで約2週間と繁殖力の高さも特徴。世界中に広く分布するコスモポリタン種で、日本国内でも牛や馬がいる地域ならどこでも見られます。

牛にたかるのはなぜ?

ハエが牛にたかるのはなぜ?

牛に大量のハエがたかる光景の理由は、牛の体がハエにとって格好の餌源だから。サシバエのような吸血バエは牛などの大型哺乳類から血を吸うことで生きており、産卵のためにも血液が必要です。

体温の高い牛は絶好の標的で、吐く息の二酸化炭素や体のにおい・汗もハエを引き寄せます。特にサシバエは主に牛の脚や腹部にとりつき、一日に2回ほど吸血。牛は動きが遅く反撃できないため、ハエにとって安全に吸血できる相手なのです。

さらに牛舎環境そのものもハエを呼び寄せます。牛のいる場所にはエサや糞があり、イエバエなど吸血しないハエも食べ物や産卵場所を求めて集まります。

要するに牛は栄養(血)を提供し、周囲の環境もハエの繁殖に適しているため、多くのハエが牛の周りに群がるのです。

私も酪農家さんの牛舎を訪ねた際、牛の脚にびっしりとハエがとまっているのを目撃。牛はしきりに尻尾を振り、脚を踏み鳴らしていましたが・・・それでもハエは次々と留まり続けており、吸血の執念を感じました。

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このように牛は、常にハエの標的となりやすい状況に置かれているのです。

イエバエとの違い

サシバエとイエバエの違い
イエバエ

見た目がよく似ているサシバエとイエバエですが、生態は大きく異なります。最大の違いは食性と口の構造。以下に主な相違点をまとめます。

項目サシバエ (Stable fly)イエバエ (House fly)
口器(口先)針状に細長く突き出し、皮膚に刺して吸血するスポンジ状で柔らかく、舐めとるように餌を吸う(刺す力はない)
食べ物牛・馬など哺乳類の血液。雌雄ともに吸血人や動物の排泄物・腐敗物、生ゴミなど有機物を舐める(※血は吸わない)
被害刺されると強い痛み。家畜に吸血ストレス・疾病媒介噛んだり刺したりしないが、不衛生な場所を歩くため病原菌を運ぶ可能性
大きさ体長約4〜6mm前後。灰黒色の体に腹部は暗色斑紋が点状に並ぶ体長約6〜8mm前後。灰黒色の体で前胸背に黒い縞模様がある
翅の形・姿勢翅は先が尖り気味で、静止時はややハの字型に開き気味(ほぼ二等辺三角形のシルエット)翅は先端があまり尖らず、静止時は背上で重ね気味(横から見ると三角形が崩れた形)

こうした違いから、サシバエは「刺すハエ」、イエバエは「舐めるハエ」と言えます。見分け方としては、「牛や人を刺して血を吸うハエ」であればサシバエですし、食品や生ゴミに群がるのはイエバエです。

肉眼で両者を判別するポイントは口先の形状です。サシバエは口先が針のように長く突き出ており、頭より前に尖った管が見えます。一方イエバエの口先は短く先端がふさ状(スポンジ状)なので、真正面から見ても突起が目立ちません。

両者ともハエ目なので外見は似ていますが、この口の違いと吸血の有無が決定的な相違点となります。

>>コバエとハエはどう違う?ハエの子ども説の真実や殺虫剤の違いを解説

ブヨとの違い

サシバエとブヨの違い
ブヨ(ブユ)

サシバエとブヨ(ブユ)は、どちらも人や動物を刺す小さな吸血性の虫ですが、分類も生態も異なります。ブヨは冬から春先に川辺で発生する黒い小型のハエで、体長はわずか2~5mm程度とサシバエより小さいです。

主に山間部の渓流沿いに生息し、日中に人の足首周りなど肌の露出部を狙って刺します。一方のサシバエは夏から秋にかけて家畜小屋周辺で発生し、牛や馬の足元によく群がります。

刺し方にも違いあり。サシバエは蚊のように細い針で皮膚に直接刺し、血管から吸血します。一方ブヨはノコギリのような口で皮膚を噛み切り、にじみ出た血を舐め取るタイプ。このためサシバエに刺された場合は、刺された瞬間に強い痛みを感じます。

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私も屋外でサシバエに刺されたことがありますが、止まった瞬間にチクリと針を刺され、「痛っ!」と思わず声が出るほどでした。

しかしブヨに刺された場合、噛まれた瞬間の痛みはほとんど気づかないことが多いのです。ブヨの唾液には血が固まらないようにする成分がありますが、これが毒性を持ち強いアレルギー反応を引き起こします。

その結果、ブヨに刺されると数時間後から患部が大きく腫れ上がり、激しいかゆみを伴うのが特徴。場合によっては水ぶくれや内出血を起こし、手の甲全体が腫れるほど強い炎症になる人もいます。

一方、サシバエの場合は刺された跡が小さな赤い点や膨らみになる程度で、即時の痛みは強いものの、腫れやかゆみはブヨほど長引かない傾向あり。つまりサシバエは「刺された瞬間が痛い」のに対し、ブヨは「後から激しく腫れてかゆい」という違いがあります。

また発生環境も異なります。ブヨの幼虫は清流に棲むため、都会にはほとんどおらず、キャンプや釣りなど山や川の近くで被害に遭いやすいです。サシバエは家畜のいる農場に多く、都会でも牧場や畜産地域以外で見かけることはまずありません。

それぞれ対策も異なり、ブヨ対策では肌の露出を避け虫よけスプレーを使うことを推奨。サシバエは家畜周りの衛生管理や防虫ネット設置など、環境対策が重視される点も違いと言えるでしょう。

日本での生息地は北海道?

北海道に多い?サシバエの日本での生息地

「サシバエは北海道に多いのでは?」とよく言われますが、実際には日本全国の畜産地域に生息。ただし、発生しやすい時期に地域差があります。

サシバエは涼しい気候を好むため、気温が高すぎる真夏や低すぎる冬は活動が鈍ります。本州では春先に少し発生し、夏の猛暑期は下火になり、秋に再び大発生するパターンが一般的です。

一方で北海道は夏でも冷涼な土地が多いため、夏~秋に集中的に発生する傾向あり。実際にネット上では「北海道では秋にサシバエが一斉に発生する」という報告も。このように北海道だけが特別というわけではなく、気候条件によって出現パターンが異なるのです。

また、北海道は酪農が盛んなため牛の飼養頭数が多く、結果的にサシバエの目撃例も多くなりがち。広大な牧草地や放牧地では、牛の周りに大量のサシバエが発生することが多々あります。

もちろん南の暖かい地域でも、時期になればサシバエは現れます。例えば九州や沖縄の牧場でも、秋から冬の過ごしやすい時期にサシバエが確認されています(※九州大学の研究では沖縄での発生も調査対象になっています)。

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このようにサシバエ自体は日本中に分布しており、「北海道だけのハエ」ではありません。ただし牧場の多さや報道によるイメージのせいで、「北海道に多い」と感じられるのでしょう。

幼虫はどこにいる?

サシバエの幼虫はどこにいる?

サシバエの幼虫(ウジ虫)は、牛舎や厩舎の周辺に積もった湿った有機物の中に潜んでいます。具体的には牛や馬の糞尿が混じった古い敷き藁・堆肥化しかけの糞の山、牧草ロールの残骸・餌の食べ残しが腐ったものなどが好適な発生場所です。

畜舎内では掃除の行き届かない隅や柱の根元・牛床の下・給餌槽まわりなど、糞や飼料が堆積して湿気を帯びた箇所に卵が産み付けられます。産まれた卵は1~2日で孵化し、ウジ虫(幼虫)はその腐敗有機物を食べて成長します。

十分成長した幼虫は少し乾いた場所に移動して蛹(さなぎ)になり、その中で羽化の準備をします。そして約2週間ほどで成虫のハエに羽化し、新たに吸血活動を始めるのです。

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このように幼虫は牛舎の糞や堆肥の中に潜むため、畜産現場では発生源対策が重要。堆肥場の温度を上げてウジを死滅させたり、糞尿を溜めずこまめに掃除したりすることで、幼虫の育つ場所を減らせます。

実際、「同じ地域でもサシバエの多い牧場と少ない牧場があるが、その差は発生源の管理にある」と指摘されることも。幼虫が育たなければ成虫の発生も抑えられるため、サシバエ対策の基本は幼虫のいる環境(糞や汚物)の適切な処理と言えるでしょう。

冬の幼虫対策こそサシバエ撃退のカギ?

サシバエの活動が鈍る冬の時期に、幼虫対策をすることが農林水産省でも推奨されています。

サシバエの成虫1匹は、生涯600個もの卵を産む。冬の成虫1匹は来シーズンの1万匹に相当すると言われるほど、冬季対策が重要。サシバエの活動が低下している冬季だからこそ、地域ぐるみで幼虫対策をしましょう!

農林水産省「春先に向けたサシバエ対策で牛を病気・ストレスから守りましょう!」

爆発的な繁殖力を持つからこそ、成虫になる前に駆除する必要があるんですね。つまり対策のスタートが遅れたぶんだけ、暖かい時期の苦労が増すのです。

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ちなみに成虫はサシバエ全体のわずか2割と、氷山の一角でしかありません。残り8割はサナギ・幼虫・卵として、目に見えない所に存在しています。

牛のストレス対策

牛はハエにストレスを感じてる?牛のサシバエ対策

牛はサシバエなど、吸血バエに刺されると強いストレスを感じます。サシバエに何十匹もたかられた牛は、落ち着いてエサを食べたり休んだりできなくなり、常に痛みから逃れようと体を振り動かします。

例えば牛が脚を踏み鳴らしたり頭を振ったり尻尾を激しく振り回している時は、サシバエに刺されているサイン。ハエを避けようと群れで体を寄せ合う「密集行動」をとることもあり、これは多少ハエを追い払える効果があります。

しかし密集すると、風通しが悪くなって暑さによるストレスが増加。さらには長時間立ち続けることで疲労も蓄積。この結果、牛の採食量が減って乳量や体重の増加が落ちてしまうことが確認されています。

実際に酪農現場では、サシバエ大量発生時に牛乳の生産量が大農場で1日数トン単位で減った例も報告されています。一度落ち込んだ乳量はすぐには回復せず、その乳牛の一産次(ひとつの泌乳期)全体に影響が及ぶ場合すらあります。※1

このようにハエによる吸血ストレスは、牛の生産性へ深刻な打撃を与え得るのです。

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私も以前、牛の搾乳を手伝った際にサシバエが多く飛んでいて、牛がそわそわと動きミルカー(搾乳機)を蹴落としてしまう場面を見ました。ハエのせいで人の作業にも支障が出ると実感し、牛も人も大変だなと感じました。

では牛のサシバエ対策には、どのような方法があるのでしょうか。まず先述の通り、飼養環境の衛生管理が基本。牛舎内外の糞尿や古い敷料をこまめに除去し、堆肥は発酵熱で幼虫が死ぬよう適切に管理します。

加えて物理的・化学的な対策も有効。牛舎の出入口や窓には、目合い2mm以下の防虫ネットを地上2mの高さまで張ることで、ハエの侵入を大幅に減らせます。

サシバエは飛翔高度があまり高くないため、低い位置にネットを張ることが効果的。実際、北海道のある農場では牛舎側面に防虫ネットを設置し、サシバエ被害が軽減した事例があります。

また殺虫剤の活用も一般的。牛舎内に殺虫スプレーを散布したり、牛の体に直接噴射できる殺虫剤を使用したりする方法があります。

幼虫には昆虫成長制御剤(IGR剤)を月1~2回発生源に散布し、成虫にはピレスロイド系など速効性の薬剤を噴霧するといった組み合わせで防除するのが効果的とされています。

ただし殺虫剤だけではサシバエを根絶するのは難しく、一時的な効果に留まりがちです。成虫を駆除しても次々新しいハエが発生するため、環境対策と併用することが重要です。

さらに牛舎内の送風機(ファン)もハエ対策になります。サシバエは風の強い場所を嫌う習性があるため、牛舎内に扇風機や送風ファンを設置して常に風を当てておくと、ハエが飛びにくくなります。

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防虫ネットと送風機を併用し「牛舎をサシバエから守る」取り組みを紹介するメーカーもあり。複数の対策を組み合わせて、牛をハエから守ることが大切なのです。

※1.アメリカの被害額は数千億?

サシバエから甚大な被害を受けている国は、もちろん日本だけではありません。ここでは世界第2位の牛乳生産量を誇る、アメリカの例を見てみましょう。

サシバエによる苛烈な吸血は、牛の安寧を阻害し、産乳量や増体重の生産性を大きく低下させている。米国での先行研究ではその被害額は年間 22 億ドルと試算されている。

宮崎大学「令和6年度 共同研究報告書」

22億ドルといえば、日本円で約3300億円というとんでもない数字。東京スカイツリーの建設費が約400億円ですから、いかに莫大な金額であるかがお分かりでしょう。

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つまり巨大なスカイツリーを9基も建てられる金額を、あの小さなサシバエたちに奪われているわけですね。

馬や豚などの家畜も狙う?

サシバエは馬や豚など他の家畜にもたかる?

はい、たかります。サシバエは牛以外の家畜にも容赦なく吸血。馬はもちろん、ヤギやヒツジ・豚、さらには犬など哺乳類であれば幅広く狙われます

「Stable fly」という英名が示す通り、本来は馬小屋(Stable)に発生して馬にも被害を与えるハエなのです。

私の知人の乗馬クラブでも、夏場になると馬の脚や腹にサシバエが群がり、馬が尻尾で必死に払っていました。牛ほど毛が密でない馬は刺されやすく、しばしば脚に出血点ができ痛がる様子も見られました。

豚も例外ではありません。ある研究では家畜の中で、豚がサシバエに最も吸血されていたとの結果が報告されています。この研究ではサシバエの体内に残った血をDNA解析したところ、豚由来の血液が最多だったそうです。

同時に一匹のサシバエが、複数種の動物から吸血している例も確認されており、種を問わず手当たり次第に吸血することが分かります。つまり牛だけでなく、周囲に馬や豚・他の家畜がいれば、そちらにも飛んでいき吸血するということ。家畜間で病気を媒介するリスクもあり、注意が必要です。

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このように、サシバエは他の家畜にも広くたかる害虫です。畜産現場ではウシ用の対策だけでなく、馬房や豚舎でも同様に防除策を講じる必要があります。

いずれにせよ、牛・馬・豚すべてに共通する天敵と思って対策することが重要。人間も含めて温かい血のある動物は、皆サシバエの標的になり得ると覚えておいてください。

サシバエに人が刺されたら何が起きる?殺虫剤からネットまで対策ガイド

サシバエに人が刺されたら何が起きる?殺虫剤からネットまで対策ガイド
  • 人間が刺されたら跡や症状は?
  • 吸血されると痛いのは毒のせい?
  • 殺虫剤で駆除できる?
  • ネットで対策できる?
  • ハッカ油は効くのか
  • サシバエトラップは自作できる?
  • 天敵はハチだった

人間が刺されたら跡や症状は?

人間がサシバエに刺されたら跡や症状が出る?

人がサシバエに刺された場合、刺し口に小さな赤い膨らみができ、痛みやかゆみを伴うことがあります。刺された瞬間は針で刺すような鋭い痛みが走り、「チクッ」と強い刺激を感じます。

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私も腕を刺された際、思わず「痛っ!」と声が・・・。その後、刺し口は蚊に刺された時より少し赤く硬く腫れる感じがあり、軽いかゆみやヒリヒリ感がしばらく続きました。

刺された跡は直径数ミリ程度の赤い点状の腫れとなり、人によっては少し盛り上がった硬いしこりになることも。ただし多くの場合、腫れや痛みは数時間から1日程度で治まり、跡も大きく残りません。

サシバエは刺す際に、皮膚を傷つけて少量の唾液を注入します。このため出血するほどではないものの、刺し口に点状の出血が見られる場合もあります。

特にデリケートな皮膚だと、刺された箇所から一滴ほど血がにじむことあり。強いかゆみはあまり出ませんが、刺し口周辺が赤くなって軽い炎症を起こすこともあります。

これは体がハエの唾液成分に反応しているため。もし何度も刺されたり、もともと肌が敏感な人では、腫れが大きくなったり長引いたりすることもあります。

その場合は市販の虫刺され薬(抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏など)を塗って様子を見てください。通常は時間とともに自然に治りますが、刺し傷を掻き壊してしまうと二次感染で化膿する恐れがあります。

刺された跡が大きく腫れて熱を持つ場合や、痛みが強い場合は皮膚科を受診するのが安心です。

幸いサシバエには毒針や強い毒素はありません。ですからハチに刺された時のような激しい全身症状(アナフィラキシーショックなど)は通常起こりません。

基本的には刺し口の局所的な痛みと、炎症反応だけで済みます。刺された直後に患部を石鹸と水で洗い清潔にし、冷やして炎症を鎮めておけば大事に至ることはないでしょう。

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私自身、刺された当初はヒリヒリしましたが、翌日にはほとんど気にならなくなりました。

>>スズメバチのオスは毒針が無いから刺されても大丈夫?メスとの違いとは

吸血されると痛いのは毒のせい?

毒はある?サシバエにされると痛い理由

サシバエにはハチのような「毒針」やクモのような「毒牙」はなく、特別な毒(毒液)は持っていません。ではなぜ刺されるとあんなに痛いのでしょうか?

その理由は主に、物理的な刺激と唾液成分の作用。サシバエは細長い口吻を皮膚に突き刺し、毛細血管から血を吸います。

この針が皮膚に刺さる、物理的刺激そのものが鋭い痛みを引き起こします。いわば皮膚に極小の注射針を刺されるようなものなので、瞬間的にチクッと感じるわけです。

また刺す際にハエは少量の唾液を出しますが、この中に血を固まりにくくする成分や酵素が含まれいます。それが組織に注入されることで、ヒリヒリ感や軽い炎症が起こります。つまり「痛み」は、針による傷+唾液の刺激で生じているのです。

一方で「かゆみ」は主に免疫反応(アレルギー反応)によるもので、サシバエの場合は蚊ほど強いかゆみは出にくい傾向があります。蚊は刺すときに麻酔成分を混ぜてくるため無痛で、後からかゆみが出ますが、サシバエは麻酔なしでいきなり刺すので痛みは即時に感じ、かゆみはそれほど残らないことが多いのです。

以上をまとめると、サシバエに刺されて痛いのは「毒」を注入されたからではなく、針で刺される物理的ダメージと唾液による刺激のため。毒ヘビやハチのような明確な毒素は持たないので、神経毒で麻痺するとか激しい腫れが広がるといったことはありません。

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ただし痛みが強い場合は、冷やしたり市販の鎮痒消炎剤を塗ったりして対処しましょう。掻き壊すと別の問題を招くこともあるので、痛みが治まった後も刺し口は清潔に保ち、そっとしておくのが一番です。

殺虫剤で駆除できる?

サシバエは殺虫剤で駆除できる?

駆除そのものは可能ですが、効果的に減らすには工夫が要ります。一般的なハエ用エアゾール(ピレスロイド系殺虫スプレー)を直接かければ、サシバエも他のハエと同様に殺すことができます。

ただし問題は発生源から次々と湧いてくるサシバエを根絶できるか。畜舎周りでは幼虫が常に発生しているため、成虫をいくら叩いてもキリがありません。

実際、酪農家の方々も「くん煙式の殺虫剤を牛舎内で焚いてみたが、一時的に減るだけでまたすぐ湧いてくる」と言います。そのため農場では、定期的な薬剤散布と環境改善を組み合わせて防除を行います。

たとえば牛舎の壁や柱に残効性の殺虫剤を散布しておけば、止まったサシバエをある程度退治できます。また牛の背中や脚に使える合成ピレスロイド剤などを月ごとに塗布し、寄ってきたハエを追い払う方法もあります。

さらに幼虫向けには昆虫成長抑制剤(IGR)を堆肥や糞堆積場に定期散布し、ウジの成長を阻害して成虫数を抑える対策も行われています。これら薬剤はローテーション使用(系統の異なる薬剤を交替で使う)することでハエの薬剤抵抗性発達を防ぐ工夫もされています。

家庭や一般環境でサシバエに遭遇した場合、市販の殺虫スプレーで直接駆除するのは有効です。窓から侵入してきた個体には、ハエ蚊用エアゾールを吹きかければ退治できます。

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それでも屋外から次々に侵入されてはいたちごっこなだけ。屋内なら網戸やカーテンで、侵入自体を防ぐことが重要になります。

屋外で自分の周りにサシバエが飛んでいる場合、人用の虫よけスプレー(ディートなど配合)を肌や衣服に塗るのも多少の忌避効果はあり。ただしサシバエに対しては蚊ほど確実ではないため、刺されそうなときは手で払うなど物理的に防ぐ方が確実です。

以上のように殺虫剤で個々のサシバエを殺すことはできても、継続的な駆除には環境整備と組み合わせた包括的な対策が必要だと言えるでしょう。

ネットで対策できる?

サシバエ対策にネットは効果的?

はい、防虫ネットはサシバエ対策に効果的です。物理的にハエの侵入や接触を遮る網は、シンプルながら確実な防御策となります。

先述したように、牛舎の開口部に細かい網を張ればサシバエの侵入を大幅に減らせます。実験では2mm×2mm程度の目合いのネットを地上2mの高さまで張ったところ、牛に寄ってくるサシバエの活動をかなり妨げられたとの報告もあります。

サシバエのサイズならば、一般的な網戸や蚊帳で十分ブロックが可能。家庭でも夏場に窓の網戸をきちんと閉めておけば、屋内にサシバエが入ってくることはまずありません。

畜産現場では「サシバエネット」という専用の防虫ネット資材も市販されており、牛舎の壁面や窓枠に取り付けて使われています。これに加えてネットの外側に送風機で風のカーテンを作る(二重障壁にする)など創意工夫している農家もあります。

ネットを使う際のポイントは、隙間を作らないことと丈夫な素材を選ぶこと。サシバエはある程度の隙間があればそこから侵入しますし、劣化して穴が開いた網では意味がありません。

またネット越しに光や匂いで牛が見えてしまうと、網に張り付いて機会をうかがうハエもいるため、完全に寄せ付けない工夫(例えば牛舎内を暗くする、扇風機の風を当てる等)も組み合わせると良いでしょう。

一方、家畜に直接ネットを掛ける方法もあります。乗馬用の馬衣(ばい)には夏場、蚊帳のようなメッシュ生地でできた「フライシート」という防虫馬衣があり、馬をブヨやハエから守ります。

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同様に牛にも防虫ネットを被せる試みがありますが、牛は群れで擦り寄ったり動き回ったりするため、ネットがずれたり破れたりしやすい難点があります。

したがって現実的には、固定された場所(牛舎・厩舎・人の居住空間)へのネット設置が主な活用法。きちんと張られたネットはサシバエ侵入防止に非常に有効ですので、家畜小屋や窓辺にはぜひ活用すると良いでしょう。

ハッカ油は効くのか

サシバエはハッカ油を嫌がるのか

サシバエに対してハッカ油は一定の忌避効果がありますが、持続時間は短いようです。実際にネット上であるヤギ飼育者の方が、ハッカ油を利用した対策を試みています。

その方によれば、ハッカ油をサラダ油で薄めたものをヤギの足やお腹など刺されやすい部分に塗布すると、塗った直後からしばらくの間ハエやアブが寄り付かなくなったとのこと。サラダ油で希釈することで揮発を遅らせ、効果が約1時間ほど持続したそうです。

これはハッカ油に含まれるメントールの強い香りを、サシバエが嫌がって近寄らなくなるためと考えられます。メントール臭は人間には清涼感がありますが、昆虫にとっては刺激が強すぎて避けたくなるのかもしれません。

しかしハッカ油の効果は、時間とともに薄れてしまうのが難点。せいぜい1時間程度で匂いが飛んでしまい、その後はまたハエが寄ってきます。

また周囲にハッカの植物を植えても、効果はほとんどないことが報告されています。牛舎周りにミント(ハッカ)を植えてみたけれど、全くサシバエ避けにはならなかったという農家の声も耳にしました。

つまりハッカ油は、高濃度の香りを直接皮膚などに塗布すれば短時間は効くものの、環境全体の防除策としては「おまじない程度」と考えたほうがよさそう。それでも何も無いよりはマシなので、屋外で作業する際にスプレーで服や帽子に吹きかけておくのは一つの手です。

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即効性と安全性から言えば、ディート配合の虫よけ剤のほうが安定した忌避効果あり。逆にハッカ油は天然素材なので、家畜の体にも比較的安心して使えることがメリットですね。

まとめるとサシバエは強いハッカの香りを嫌う傾向はあるが、完全な撃退は難しく一時しのぎと心得ましょう。

>>玄関にハーブやハッカ油を置くだけでゴキブリが寄ってこなくなるって本当?

サシバエトラップは自作できる?

サシバエを捕獲する装置「モウ安心」
モウ安心(出典:株式会社サンパック)

結論から言うと自作も可能ですが、市販の専用品を使う方が効果的です。なぜならサシバエは一般的なハエ用の誘引トラップ(砂糖や酢を入れたペットボトル捕獲器やハエ取り紙など)にほとんどかからないから。

これはサシバエが糖分や腐敗臭にはあまり惹かれず、動物の体温や呼気中の二酸化炭素(CO₂)といった、「生き物の存在」を感知して近づく性質を持つためです。つまり素人では、意図的にサシバエを誘引することは困難なのです。

市販品の例をあげると、畜産現場などで使用されている効果的な捕獲装置として知られているのが「モウ安心」という製品。これは牛舎などの屋外環境を想定して設計されたサシバエ専用トラップで、光吸収性の高い色(ブラック)と立体的な形状を組み合わせてサシバエを強力に誘引します。

市販品の中でも高い捕獲実績があり、農家や酪農関係者からの信頼も厚いアイテム。サシバエ対策を本格的に行いたい場合は、まずこのような専用品を導入するのが最も確実です。

もし「どうしても自分で作ってみたい!」という場合は、粘着トラップを活用する方法もあります。黒い厚紙に強力な両面テープを貼り付け、サシバエが多く集まる場所に設置すれば、ある程度の捕獲が期待できます。

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完全な駆除は難しいですが、発生源を減らす&お手軽で補助的な手段としては有効でしょう。

天敵はハチだった

サシバエの天敵キャメロンコガネバチ
キャメロンコガネコバチ(出典:マイナビ農業)

サシバエには自然界に天敵となる小さなハチが存在します。その名も「キャメロンコガネコバチ」。コガネコバチ科に属する体長2~3mmほどの寄生バチで、英名では Spalangia cameroni と呼ばれます。

このハチはサシバエの成虫を直接襲うわけではありませんが、サシバエの幼虫が蛹になる段階でその蛹に産卵し、自分の子孫を育てるという習性があります。つまりサシバエの蛹の中でコガネコバチの幼虫が成長し、結果としてサシバエを殺す(成虫の発生を阻む)のです。

キャメロンコガネコバチは世界各地に分布し、欧州連合(EU)ではすでにサシバエ防除の生物農薬(益虫)として商業利用されています。日本では2020年に九州大学の松尾和典講師らのグループが国内で初めて生息を確認し、大きく報道されました。

日本農業新聞の記事によると、「牛白血病を媒介するサシバエの天敵となる寄生蜂・キャメロンコガネコバチが国内にもいた」という見出しで、九州大学がその存在を初確認したとのこと。これは日本でもこのハチを利用したサシバエの生物的防除が、現実味を帯びてきたことを意味します。

九州大学はこのキャメロンコガネコバチを活用して、サシバエを防除する研究プロジェクトを進めており、産学官連携で実用化を目指しています。松尾講師らはベンチャー企業を立ち上げ、サシバエ発生地域の農場(北海道から沖縄まで)で寄生蜂の放飼試験を行っています。

既にヨーロッパでは実証済みの手法ですが、日本の気候や環境でどの程度効果があるか検証し、安定的に供給できる体制を作ることが目標。キャメロンコガネコバチは刺すハチではないため人や家畜に無害で、サシバエの蛹だけを狙う非常に都合の良い存在なのです。

suzuka
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放っておけば勝手にサシバエを減らしてくれるので、殺虫剤に代わる環境に優しい防除策として期待されています。まさに「虫で虫を制す」発想といえるでしょう。

今後、研究開発が進めば、サシバエに悩む畜産農家にとって心強い味方になるかもしれません。キャメロンコガネコバチによる防除法が普及し、牛たちがハエの苦しみから解放される日が待ち遠しいですね。

まとめ:人がサシバエに刺されたら腫れて跡が残る!なぜ牛にたかるかも総括

人がサシバエに刺されたら腫れて跡が残る!なぜ牛にたかるかも総括
  • サシバエはイエバエに似た姿の吸血性ハエ。雌雄ともに牛や人の血を吸う
  • 針のような口吻で刺すため、刺された瞬間に強い痛みを感じる
  • ブヨとの違いは「刺す痛みが即時」「腫れやかゆみは短期間」である点
  • 牛に群がるのは血液・体温・二酸化炭素・においに引き寄せられるため
  • 幼虫は牛舎の糞や堆肥の中で発生。繁殖力が強く短期間で成虫化する
  • 北海道を含む日本全国に分布し、秋に発生ピークを迎える地域が多い
  • 牛舎では糞尿清掃・堆肥管理・防虫ネット設置などの環境対策が基本
  • ピレスロイド系殺虫剤やIGR剤を組み合わせた防除も有効
  • 風を嫌う性質を利用し、送風機やファンを設置するとハエの滞在を防げる
  • サシバエは牛だけでなく馬・豚・ヤギなど他の家畜にも吸血被害を与える
  • ハッカ油は短時間の忌避効果があるが、持続性が低く補助的な対策向き
  • 黒のカラーと立体構造を利用した粘着トラップは大量のサシバエに効果的
  • 九州大学が発見したキャメロンコガネコバチはサシバエ蛹に寄生する天敵
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牛は吸血されるとストレスで採食量や乳量が低下し、生産性に悪影響を及ぼします。つまりサシバエを駆除できるかどうかで、牛肉やミルクの供給量に差が出てくるとも言えるんですね。

>>ハエが地球から消えたらどうなる?絶滅しない理由や沖縄マンゴーとの関係とは

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丸眼鏡×害虫オタクの管理人suzukaです!幼い頃に図鑑でゴキブリのフォルムに一目惚れ。今は「害虫ときめき女子」として日々情報発信しています。一緒に害虫の魅力を探究しましょう!

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