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ゴキブリは飛ぶ?飛ばない?「飛べることを知らない」説の真実とは

ゴキブリは飛ぶ?飛ばない?「飛べることを知らない」説の真実とは

ゴキブリが飛ぶという話を聞いても、にわかには信じがたいですよね。壁を這う姿でさえ恐ろしいのに、「空を飛ぶ」なんて想像するだけでゾッとする方も多いでしょう。

しかしゴキブリの中には羽を持ち、状況によっては短距離ながら空中を移動できる種類も存在します。もちろん「鳥のように自由に飛び回る」わけではなく、滑空に近い行動にとどまりますが・・・つまりゴキブリが飛ぶか飛ばないかは、種類や環境条件によって異なるのです。

さらに興味深いのは、「ゴキブリ本人は自分が飛べることを知らない」という都市伝説の存在。果たしてそれは本当なのか?飛翔の仕組みや種類ごとの違い・飛ぶ条件・そして“人間に向かって飛んでくる理由”までを、害虫ときめき女子の私が徹底的に解説します。

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ゴキブリの「飛ぶ・飛ばない問題」の真実を知れば、突然の飛翔にも慌てず冷静に対処できるようになるはず。この記事を読むことで、あなたのゴキブリ恐怖度を少しでも下げるお手伝いができれば幸いです。

この記事のポイント

  • ゴキブリが実際に飛ぶ仕組みとその条件
  • 種類ごとの「飛ぶ・飛ばない」特徴の違い
  • 殺虫剤をかけた時に飛ぶ理由と正しい対処法
  • 「飛べることを知らない」説の真偽を解説

飛ぶ・飛ばない問題を解決|ゴキブリは飛べることを知らない説の前に

飛ぶ・飛ばない問題を解決|ゴキブリは飛べることを知らない説の前に
  • 飛ぶ・飛ばないどっち?
  • 羽あるのは本当?
  • 飛ぶ時の理由と条件
  • 飛ぶ距離と高さ
  • 飛ぶor飛ばないゴキブリの種類
  • 殺虫剤をスプレーしたら飛ぶ?
  • 飛ぶ瞬間の姿を収めた動画
  • 飛ぶゴキブリの対処法

飛ぶ・飛ばないどっち?

ゴキブリは飛ぶのか?それとも飛ばないのか?

結論から言えば、ゴキブリは「飛ぶことができるけれど滅多に飛ばない」害虫です。成虫のゴキブリには翅(はね)があり、種類によっては短距離であれば空中を移動できます。

しかし鳥や蜂のように自由自在に空を飛び回るわけではなく、多くの場合は高い場所から低い場所へ滑空する程度。日常的な移動手段はあくまで脚による素早い歩行であり、飛行は補助的な非常手段と考えてよいでしょう。

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私自身も自宅の壁にいたゴキブリを捕まえようとした際に、突然羽を広げて数メートル先まで滑空された経験あり。ゴキブリマニアの私にとってはその瞬間は興味深い観察対象でしたが、苦手な方なら悲鳴を上げてしまうかもしれませんね。

このようにゴキブリは状況次第で飛ぶものの、普段は滅多に飛ばないため、「ゴキブリは飛ばない生き物」という印象を持つ人も多いのです。

羽あるのは本当?

そもそもゴキブリって羽があるの?

はい、ほとんどの成虫ゴキブリには羽があります。 ゴキブリの羽は上下二対になっており、硬い前翅(ぜんし)と柔らかい後翅(こうし)を持ちます。普段は前翅が後翅を覆うように畳まれているため目立ちませんが、必要に応じてこれらの羽を広げて飛行・滑空することが可能です。

ただし、「羽がある=必ず飛べる」というわけではありません。ゴキブリの種類や個体差によっては羽が退化していたり、飛翔に必要な筋力が弱かったりして実質的に飛べない場合もあります。

例えば一般的なクロゴキブリワモンゴキブリなどは立派な羽を持ちますが、後述するように普段はあまり飛びません。一方で飲食店などで見かける小型のチャバネゴキブリは羽があるもののほとんど飛行できず、滑空すらしないほど羽が退化しています。

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また、ゴキブリの幼虫(幼若な個体)には羽が無いため飛ぶことはできません。飛べるのは最後の脱皮を終え羽が生え揃った成虫ゴキブリだけですが、その成虫であっても種類・性別・体格によって飛行能力には差があるのです。

飛ぶ時の理由と条件

ゴキブリが飛ぶ時の理由と条件

ゴキブリが羽を使って飛ぶ(滑空する)には、明確な理由と条件があります。主な理由はズバリ「危険から逃れるため」。人間に見つかって殺虫剤をかけられそうになったり、スリッパで叩かれそうになったりといった追い詰められた緊急時に、ゴキブリは最後の手段として飛び立ちます。

壁の上の方にいるゴキブリにスプレーをかけようとすると、驚いてサッと羽を広げ、結果的に人間のほうへ向かってくるように飛ぶこともあります(後述するように、決して襲っているわけではなく必死に逃げているのです)。

もう一つの理由は、効率よく移動するためです。ゴキブリは基本的には歩行で移動しますが、より遠くへ逃げたい・移動したい場合には、高い所までよじ登ってから羽ばたいて滑空した方が早く距離を稼げます。

例えば壁やカーテンを上まで登りきってからパッと飛び降りれば、一気に数メートル離れた場所へ移動できます。そのためゴキブリ自身も、「高い所から低い所へ移るときに飛ぶ」という行動パターンを本能的に持っています。

もっともこうした飛翔行動が見られるのは、環境条件が整った時だけ。ゴキブリは明るい場所では基本的に飛びたがらず、暗くて蒸し暑い環境で活発になります。一般に気温が約30℃以上、湿度60%以上の真夏の夜などはゴキブリが飛びやすい条件と言われます。

実際、梅雨から夏場にかけて蒸し暑い夜になると、高温多湿に刺激されてゴキブリがふわりと飛ぶ姿が目撃されることが増えます。また暗闇のほうが行動しやすいため、明るい昼間より夜間に飛ぶ傾向があります。

さらに補足すると、ゴキブリが飛ぶ理由には繁殖や餌探しも関係するとの指摘あり。特にオスのゴキブリは、メスが出すフェロモンに反応して行動範囲を広げようとします。

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その際に歩くだけでなく滑空や短い飛行も組み合わせることで、より効率的にパートナーや餌を探索していると考えられます。つまり高温多湿で暗い時に、身の危険を感じた場合や効率よく移動したい場合に、ゴキブリは羽を使って飛ぶことがあるのです。

飛ぶ距離と高さ

ゴキブリの飛ぶ距離と高さはどのくらい?

ではゴキブリが飛んだ場合、どの程度の距離や高さを移動できるのでしょうか?結論としては、せいぜい数メートル程度の距離・高さと考えてください。ゴキブリは飛行があまり得意ではないため、トンボや蝶のように長距離を飛び続けることはできません。

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大柄なクロゴキブリ成虫でも、羽ばたいて移動できる距離は2〜3メートル程度だと報告されています。部屋の端から端へ一直線に滑空するくらいが限界で、部屋中を何周も飛び回るようなことはまずありません。

高さについても、地面から約5メートル(家屋で言えば2階相当)が飛び上がれる上限だとされます。真上に羽ばたいて上昇するような力は弱く、高いところへ行きたい場合は基本的に壁をよじ登るなどしてから滑空します。

そのため屋外でもゴキブリが、自力で4~5階以上の高さまで直接飛んで上がってくることは考えにくいと言われています。マンションの高層階でゴキブリの侵入が比較的少ない理由の一つはここにあります。

ただし安心は禁物で、低層階(1~3階)であれば窓やベランダの隙間から飛び込んでくる可能性は十分あり。現に大型のワモンゴキブリなどはドアや窓から滑空するように高層階の部屋に侵入した例も報告されており、「高い階だから絶対安全」とは言い切れません。

またゴキブリの飛行には方向転換の制約もあり。蝶やハチのように空中で自在に方向や高度を変えることはできず、ほぼ直線的にしか飛べません

飛び始めたらそのままの方向へスーッと滑空するだけ。もしこちらに向かって飛んできた場合は真正面に後ずさりするより、横にさっと避けるほうが効果的です。

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直線コースから外れてしまえば、ゴキブリ自身は飛びながらうまく軌道修正できません。飛距離・飛翔力が限られているとはいえ、不意に顔の前を飛ばれると驚きますから、落ち着いて回避するコツも覚えておくと良いでしょう。

飛ぶor飛ばないゴキブリの種類

飛ぶゴキブリの代表格ワモンゴキブリ
ワモンゴキブリ(出典:農林水産・食品産業技術振興協会)

一口にゴキブリと言っても、実は「飛ぶ種類」と「飛ばない種類」が存在します。日本には約50種のゴキブリがいると言われますが、その多くは南西諸島など暑い地域に生息し、私たちの身近な屋内で見かけるのは主に4種類です。

それぞれ飛翔能力に違いがありますので、代表的な種類ごとに飛ぶか飛ばないかの特徴を整理してみましょう。

種類(和名)飛行能力特徴・備考
クロゴキブリ
(大型の黒いゴキブリ)
△ (滑空程度)体長約3~4cmの最も一般的な大型種。高温多湿の夏夜には羽を広げて短距離滑空することがある。家屋内で飛ぶ姿が目撃される筆頭種です。
ワモンゴキブリ
(大型の茶色ゴキブリ)
○ (飛翔力高い)体長約4cmとクロゴキブリよりやや大型。背中に淡黄色の輪模様があるのが特徴。飛行能力が非常に高く、夜間に明るい照明に向かって飛来し玄関や窓から侵入するケースが多い。高層階の部屋でも飛来被害が起きるので注意が必要です。
ヤマトゴキブリ
(中型のゴキブリ)
× (ほぼ飛ばず)体長約2cm前後の中型種。羽は一応ありますが飛行能力は低く、移動はほとんど歩行のみ。屋外の落ち葉の下などに生息する種で、家屋内ではあまり見かけません。
チャバネゴキブリ
(小型の茶色ゴキブリ)
× (飛べない)体長1~1.5cmほどの小型種。飲食店などによく出没します。羽はありますが飛行筋が弱く、滑空すら行わないのが通常です。その分すばしっこく走り回ることでカバーしている種類です。

ご覧のように、大型の種類ほど羽が発達していて一応飛ぶことができ、小型の種類は羽があっても機能せず飛べない傾向があります。特に家屋内で遭遇するゴキブリでは、クロゴキブリや写真のワモンゴキブリが「飛ぶゴキブリ」の代表格、チャバネゴキブリは「飛ばないゴキブリ」の代表格と言えるでしょう。

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ちなみにヤマトゴキブリも形態的には羽があり滑空できそうですが、生態的にはあまり飛びません。このように種類によって飛翔能力が異なるため、ゴキブリを見かけた際に種類を見極めることで「こいつは飛ぶかも?」と警戒する目安になるかもしれません。

ヤマトゴキブリってどんなゴキブリ?

ヤマトゴキブリの特徴とは
出典:農林水産・食品産業技術振興協会

紹介した4種の中で、圧倒的に出会う機会が少ないヤマトゴキブリ。一体どんな特徴を持ったゴキブリなのでしょうか?

江戸時代の初めまでは日本の屋内で見られる唯一の種類でした。クロゴキブリに似ていますが、成虫の体長が20~30mmとやや小型で、 光沢がないことおよび雌の成虫は翅が短く、腹部の後半がむき出しになっている点で見分けられます。

公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会「ヤマトゴキブリ」

今でこそ見かける場面が限られるものの、かつては室内に侵入してくる唯一のゴキブリだったんですね。ちなみに見た目以外では、他種に比べて寒さに強いのも彼らの特徴です。

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ヤマト(大和)の名が表すとおり、日本を原産地とするゴキブリ。人間の住環境の変化などによって、市街地での個体数が減少傾向にあるとされています。

殺虫剤をスプレーしたら飛ぶ?

ゴキブリは殺虫剤をスプレーしたら飛ぶことはある?

はい、飛ぶ可能性はあります。 ゴキブリに殺虫スプレーを吹きかけた瞬間、バッと飛び立たれた・・・という体験談は決して珍しくありません。特に壁や天井付近にいるゴキブリを狙った場合、薬剤から逃れようとして突然羽ばたき、高所から滑空してしまうのです。

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人間から見ると自分に向かって飛んでくるように感じられますが、ゴキブリ本人は「何とかして高い所へ逃げたい!」一心で羽を使っているだけなのです。

実際、ゴキブリは飛ぶのが上手ではないため、自分より少しでも高い場所(例:人間の頭部あたり)に飛び移って逃げようとする習性あり。その結果、追いかける人間のほうに飛来してしまうわけですね。

もちろん殺虫剤を噴射したら、毎回必ず飛ぶわけではありません。 ゴキブリもできれば飛びたくないので、足元にスプレーされた場合はそのまま走って逃げようとすることも多いです。

また適切な距離から十分な量の殺虫剤を浴びせれば、飛び立つ間もなく動きが鈍くなるので、こちらに向かってくる可能性は極めて低いでしょう。要は「高所でゴキブリを追い詰めた時に飛ばれるリスクがある」と心得ておき、顔の方向に飛んで来てもパニックにならないよう注意することが大切です。

>>殺虫剤が無い!ヘアスプレーやシリコンスプレーでもゴキブリを駆除できるって本当?

飛ぶ瞬間の姿を収めた動画

YouTubeでは、ゴキブリが実際に飛ぶ瞬間を捉えた映像もいくつか投稿されています。

部屋のカーテンに止まっていたゴキブリが羽を広げ、一気にドアの方まで滑空していく様子が収められていますね。普段はなかなか見られない貴重なシーンですので、ぜひ動画でその飛翔ぶりをご確認ください。

飛ぶゴキブリの対処法

飛ぶゴキブリの対処法

もしも「ゴキブリが飛んできた!」という状況に遭遇したら、落ち着いて次のように対処しましょう。

慌てず姿勢を低くしすぎない:
思わず身をかがめたり頭を抱えたりしたくなりますが、先述の通りゴキブリは高い所を目指して飛ぶ習性あり。中腰やしゃがみ込む姿勢をとると、かえって体に留まりやすくなってしまうので注意が必要です。むしろ軽く背筋を伸ばし、飛んできた方向とは別の横方向へさっと避けるようにしましょう。直線的にしか飛べないゴキブリは、こちらが横にずれれば追ってくることはできません。

殺虫スプレーで速やかに駆除:
飛んでいる最中でも、殺虫エアゾール(いわゆるゴキジェットなど)は非常に有効。手元にある場合はできるだけ距離をとって噴射し、ゴキブリに薬剤をしっかりかけてください。背後からかけるようにすればこちらへ向かってくるリスクも低く、命中すれば大抵は墜落して動きが鈍ります。飛翔中だと狙いにくい場合は、いったん物陰に止まるのを待ってから確実に仕留めましょう。

物理的に叩くのは難易度高め:
新聞紙やハエたたきで仕留める方法もありますが、飛んでいるゴキブリに当てるのはかなり難しいです。失敗して逃がしてしまうリスクも高いため、できれば上述のスプレー類を使ったほうが確実です。どうしても叩くしかない場合は、ゴキブリが壁などに留まった瞬間を狙って一撃で仕留めてください。

飛んだ後の所在を見失わない:
ゴキブリが飛んで逃げた後、どこかに隠れてしまうと非常に厄介。できれば目で追って着地場所を確認しましょう。高所から滑空しただけであればそう遠くへは行っていないはずなので、家具の裏やカーテンの裏側などを捜索し、見つけ次第退治してください。見失った場合は念のためバルサン(燻煙剤)等も検討しましょう。

【番外編】スプレーが無い時は飛び立つ前に対処:
殺虫剤を切らしている場合でも、まだ飛ぶ前ならば大丈夫。台所用の食器用洗剤スプレーが代用になります。食器用洗剤をゴキブリの体に直接かけると、界面活性剤の作用でゴキブリの気門(きもん)と呼ばれる呼吸孔が塞がり、数分で窒息死させることができます。

洗剤ボトルは押すと遠くまで液が飛ぶ構造なので命中させやすく、応急処置として効果的。他にも熱湯(瞬時に熱殺できますが自分が火傷しないよう注意)や、ドライヤーの熱風(当て続けると動きを止められますがトドメには洗剤併用がおすすめ)なども、ゴキブリ退治に使える家庭用品です。いざという時のため頭の片隅に入れておくと安心でしょう。

以上のように対処すれば、飛ぶゴキブリ相手でも過度に怖がる必要はありません。私も以前、窓を開け放して換気中に大きなゴキブリが飛び込んできたことがありますが、そのときは運よく手元に洗剤スプレーがあり難を逃れました。

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突然の遭遇に驚きはしましたが、「おお、噂に聞く空飛ぶGとはこのことか」と内心テンションが上がってしまった自分がいました(笑)。もちろん皆さんは無理に観察せず、安全第一で対処してくださいね。

ゴキブリ「飛ぶ・飛ばない」雑学|飛べることを知らないのは本当か?

ゴキブリ「飛ぶ・飛ばない」雑学|飛べることを知らないのは本当か?
  • ゴキブリは飛べることを知らない?
  • 下から上に飛ぶことはあるのか
  • 人に向かってくる理由
  • 赤ちゃん(幼虫)は飛ぶのか
  • 飛ぶのはメスだけって本当?
  • 飛ぶ音はする?
  • 光に向かって飛ぶのか
  • ゴキブリに似た飛ぶ虫

ゴキブリは飛べることを知らない?

「ゴキブリは飛べることを知らない」という噂は本当なのか

ネットや一部で囁かれる、「ゴキブリ本人は自分が飛べることを知らない」というユニークな噂があります。結論から言えばこれは科学的に検証された事実ではなく、半分ジョークのようなものと考えてよいでしょう。

ゴキブリは約3億年以上前(石炭紀)から、ほとんど姿を変えずに進化してきた昆虫。その過程で飛ぶ必要性があまり無くなったため、徐々に翅が退化してきた経緯があります。つまり「滅多に飛ばなくなった=飛ぶことを(進化的に)忘れてしまった」という比喩的な表現が、この噂の背景にあるのかもしれません。

日本に生息するゴキブリでも「羽があるのにほとんど飛ばない種類」が存在しますし、飛んだとしてもせいぜい短い距離をまっすぐ滑空する程度です。平常時は飛ぶより走った方が早くて簡単なので、ゴキブリは基本的に飛ぼうとしません。

しかし危機的状況になればちゃんと羽ばたいて飛びますし、それはゴキブリ自身の本能に組み込まれた行動。なので「ゴキブリが自分の能力に気付いていない」といった噂は、生物学的には少々擬人化しすぎた見方と言えるでしょう。

なお派生した冗談で「ゴキブリは追い詰められて飛ぶとIQが急上昇する」なんて話もありますが、当然そんなことはありません。昆虫に人間のIQ尺度を当てはめるのはナンセンスですし、飛んだからといって急に賢くなるわけではないですよね(笑)。要は「ゴキブリは飛べるのに普段飛ばない」という現象を、面白おかしく表現した都市伝説程度に思っておきましょう。

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実際には前述の通り、飛ぶか飛ばないかは種類や状況によって決まっており、条件さえ整えばゴキブリは自分の意思でちゃんと飛翔します。噂の真偽が気になって当記事に辿り着いたあなたも、これでスッキリしていただけたのではないでしょうか。

下から上に飛ぶことはあるのか

ゴキブリが下から上に飛ぶことはある?

基本的には稀ですが、状況と種類によってはあり得ます。 ゴキブリは自力で羽ばたいて上昇気流に乗るのが不得意なので、通常は上から下への一方通行の滑空がメイン。例えば床にいるゴキブリがそのまま垂直に飛び上がって天井まで到達する、といった芸当は一般的な種ではほとんど期待できません。

しかし短い距離であれば、下から上へ飛び移る動きも観察されています。例えば沖縄でよく見られるワモンゴキブリは、下から上へ飛び上がる姿が頻繁に目撃さされています。

この「下から上へ飛ぶ」ケースの多くは、ゴキブリが目前の危機から逃れようとして近くの高所にとっさに飛び移る場面。たとえば目の前に人間が迫ってきた時、少しでも高い家具の上や壁の上部へ逃げようとして飛び上がることがあります。距離にして1~2メートル程度、垂直方向でも人の腰くらいの高さまでなら、羽ばたきとジャンプで何とか達することが可能です。

まとめると、日本で見られるゴキブリは「基本は滑空専門だが、ごく一部短距離なら下から上にも飛べる種もいる」と考えてください。普段は壁をよじ登るなどして高さを稼ぎますが、いざとなれば自力でひと飛びして高所に逃げ込むこともあるわけです。

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「Gは上には飛べないから床にいれば安全」と油断するのは禁物。ワモンゴキブリに関しては例外です。とはいえ長時間自由に空中を舞えるわけではないので、その点は過度に怖がらなくても大丈夫でしょう。

人に向かってくる理由

ゴキブリが人間に向かってくる理由

ゴキブリが空中を飛ぶとき、たまに人間めがけて突進してくるように見えることがあります。悲鳴をあげて逃げたくなる瞬間ですが、実のところゴキブリに攻撃の意図は全くありません

前述のように、ゴキブリは危険を感じると高い場所へ逃げようとします。人間はゴキブリからするとかなり大きな存在ですが、しゃがんだり中腰になったりしていると程よい高台に見えてしまうのです。その結果「ちょうどいい高さのものがある!」と勘違いして飛び移ろうとし、こちらの頭や体に向かってくるケースが生じます

例えば壁際のゴキブリに殺虫剤をかけようと前かがみになった途端、ゴキブリがこちらの顔めがけて飛んできたパターン。ゴキブリからすれば「後ろに壁、目の前にデカい物体(人間)、ならばその物体の上に逃げるしかない!」と必死なだけなのです。

実際、専門家によればゴキブリは人間を敵として狙っているのではなく、人間を「ちょうどいい高さのモノ」だと考えて飛び移っているだけだそう。さらに飛んでくる軌道も直線的なので、偶然こちらに一直線になってしまった場合に「向かってきた!」と感じることも多いのでしょう。

つまりは「ゴキブリの逆襲」なんかじゃなく、あくまで必死に逃げているだけ。私たちからすると顔に飛んで来られてビックリですが、当のゴキブリに余裕や悪意は無く、パニック状態で飛び出しているに過ぎません。

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以上のように理解すれば、少しだけ冷静に対処できるかもしれませんね。人間側としては「自分が低姿勢になると狙われやすい」と覚えておき、変にかがみ込まずに対応することが肝心です。

赤ちゃん(幼虫)は飛ぶのか

ゴキブリの幼虫は飛ぶのか
出典:株式会社タニサケ

幼虫(幼若個体)のゴキブリは飛べません。 ゴキブリは不完全変態といって、幼虫からサナギを経ずに成虫になる昆虫です。

羽は最後の脱皮(羽化)で初めて生えてきます。それまでは成長段階の幼虫(見た目は小さいゴキブリですが羽が無い)として過ごすため、どんなに大きくなったとしても羽が無い限り飛行は不可能なのです。

しばしば「小さいゴキブリが飛んだ!」という目撃談がありますが、それが本当に幼虫だったケースは考えにくのが事実。可能性としては幼虫ではなく、羽化したての小柄な成虫だったのかもしれません。

ちなみに成虫になりたてのゴキブリは体がまだ茶色っぽく柔らかいことがあり、一見幼虫と区別しにくい場合あり。しかし羽は備わっているため飛ぶことは可能です

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いずれにせよ明確に羽の無い幼齢ゴキブリは飛べませんので、「赤ちゃんゴキブリが飛ぶ」という心配はしなくて大丈夫でしょう。

飛ぶのはメスだけって本当?

ゴキブリで飛ぶのはメスだけって本当?

これは誤解です。 実際にはオス・メス関係なく成虫ならどちらも飛翔可能であり、むしろオスのほうが活発に飛ぶ傾向があります

ゴキブリの世界では、メスは巣や餌場の周辺を往復する程度であまり動き回らない「出不精」な個体が多く、産卵中のメスともなればほとんど巣から離れません。一方でオスは餌や子作りの相手を求めて、活発に歩き回り行動圏を広げます。そのため家の中で頻繁に目撃されるのはオスのゴキブリである可能性が高く、飛ぶ場合も必然的にオス個体であることが多いのです。

「メスだけ飛ぶ」という噂の出所は不明ですが・・・もしかするとある特定の種でオス・メスの片方だけが翅(はね)を持つといった、他の昆虫(ネジレバネなど)と混同したのかもしれません。

しかしゴキブリに関しては、そのような極端な性差はなし。強いて言えば、「メスのほうがあまり移動しないので飛ぶ機会も少ない」というのが実情でしょう。

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少なくとも上記で紹介したクロゴキブリやワモンゴキブリに関しては、オスもメスも成虫なら飛行形態を持ち、条件が揃えば飛ぶと覚えておいてください。

飛ぶ音はする?

ゴキブリの飛ぶ音とは

はい、飛ぶ時に羽音がします。 多くの人はゴキブリが飛ぶ際の音を、「ブーン」という低い羽ばたき音で表現します。特に大型のクロゴキブリやワモンゴキブリが羽を高速振動させると、空気を震わせてブーンという音が聞かれます。

私自身、沖縄旅行中のホテルで「バサバサッ」という音を聞いて振り向いたら、ワモンゴキブリが横切った経験あり。その羽音ではじめて存在に気付いたほどです。特に部屋が静かな状況では、耳障りなほどはっきり聞こえることもあります。

ただしその音は、カナブン(コガネムシ)やカメムシが飛ぶ時ほど大きくはありません。 ゴキブリの羽は薄く振動数もそれほど高くないため、比較的低めの羽音になるのが特徴です。イメージとしてはハエより少し重低音で、蜂ほど激しい羽音でもない中間的な感じでしょうか。

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なお小型種のチャバネゴキブリなどは飛ぶこと自体がまれなうえ、飛んでも音があまり目立ちません。やはり羽音が聞こえるのは主に大型のゴキブリと思って良いでしょう。

いずれにせよ、真夜中に「ブーン」という不気味な音が聞こえたら、残念ながらそれはゴキブリの飛翔音かもしれません。そんな時は無理せず電気をつけて周囲を確認し、落ち着いて対処してくださいね。

光に向かって飛ぶのか

ゴキブリは光に向かって飛ぶ?

一般的なイメージでは、蛾のように「夜間、光に集まる虫」を想像するかもしれませんが、ゴキブリの場合は少し状況が異なります。基本的にゴキブリは明るい光を嫌う性質(負の走光性)があり、夜に明かりをつけるとササッと物陰に逃げる姿を見た方も多いでしょう。

しかし一方で、種類によっては光に向かって飛んでくる習性が強いゴキブリも存在。代表的なのが大型種のワモンゴキブリ(アメリカゴキブリ)です。

ワモンゴキブリは屋外でも活発に飛翔し、街灯や室内の明かりに引き寄せられて飛来するケースが多いことが知られています。西日本や沖縄など暖かい地域では、夜にベランダの照明をつけていたらワモンゴキブリが飛んできて侵入した・・・という話が珍しくありません。

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私も真夏の夜に窓を開け放して部屋の灯りをつけていたら、大きなゴキブリがふいに飛び込んできた経験あり。それ以来、夏場の夜に換気する際は照明を極力控えるようにしています。

一方、クロゴキブリやチャバネゴキブリなど一般的な屋内種は、基本的には光に向かって積極的に飛ぶことはありません。むしろ明るい場所を避け、暗がりを好んで行動します。

ただし殺虫剤をかけられるなどパニック状態になったゴキブリが、結果的に光源のほうへ飛んでしまうことはあり得ます。この場合、それは光に誘引されているというより「偶然そっちに飛んだだけ」であり、ゴキブリ自身は必死で逃げている最中です。

したがって、「ゴキブリは光に向かって飛ぶのか?」という問いには、「種類による。一般的にはNOだが、ワモンゴキブリなど一部はYES」とお答えするのが正確でしょう。

まとめると普通のゴキブリは蛾のように灯りに群がることはありませんが、南方系の飛翔性ゴキブリ(ワモンなど)は明かりに引き寄せられ飛来する習性が強いということですね。

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夜間に窓を開ける際は部屋の明かりを落としたり、網戸の隙間を無くすなどの対策で不意の飛来ゴキブリを防ぐことが可能。せっかく涼を楽しみたい夏の夜が、黒い訪問者に台無しにされないよう注意しましょう。

ゴキブリに似た飛ぶ虫

ゴキブリに似た飛ぶ虫カマドウマ
カマドウマ

暗闇でバタバタと飛ぶ虫を見て「まさかゴキブリ!?」と思ったら実は別の虫だった、ということも少なくありません。ゴキブリに見間違えやすい飛翔性の虫として、以下のようなものが挙げられます。

①カマドウマ(別名:便所コオロギ):
茶褐色でずんぐりした体型は一見ゴキブリにも似ていますが、羽は無く飛べません。その代わり後脚が非常に発達しており、バッタのように跳ねて移動します。

不意にピョンと跳ぶ様子に驚く人が多く、薄暗い床下や浴室で見かけるとゴキブリと勘違いされがち。見分けポイントは長く湾曲した後ろ足と触角がそれほど長くないことで、潰すと嫌な臭いがしない点でもゴキブリと異なります。

②カメムシ:
平べったい三角形の背中を持つ緑色~茶色の昆虫。こちらはちゃんと羽があり、飛ぶ時に「ブーン」というかなり大きな羽音を立てます。飛び方は一直線というより不規則ですが、音が大きいために存在に気付きやすく、「バタバタ音がする大きな黒っぽい虫=ゴキブリかも!?」と誤認されることがあります。

最大の違いは刺激すると強烈な悪臭を放つこと。臭い匂いがした場合はゴキブリではなく、カメムシの可能性が高いでしょう。

③ガ(蛾):
茶色や灰色の地味な蛾が部屋に飛び込んでくると、その翅を広げた姿が一瞬ゴキブリに見えることがあります。蛾の場合、羽ばたきがゆっくりでフラフラ飛ぶ点がゴキブリとは異なります。

また体に鱗粉(白い粉)が付いているため、潰した際に粉っぽさがあるのもゴキブリとの違い。夜の照明に集まってくるのは大抵蛾やカメムシですので、飛び方と形状をよく観察すれば見分けられるでしょう。

このように、見た目や飛び方がゴキブリと紛らわしい虫はいくつか存在します。他には小さな甲虫(シバンムシやコクヌストモドキ等)が室内で飛び回り、「小ゴキブリか?」と勘違いされるケースもあり。しかし触角の長さや体の硬さなど、細部を見ると異なる種類だと判別できます。

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ゴキブリかどうか見極めることは、その後の対処法を考える上でも重要。もし飛ぶ虫を見つけても慌てずによく観察し、本物のゴキブリか否か確認してみてください。正体が分かれば、不必要に怖がらず適切な駆除・対策が取りやすくなりますよ。

まとめ:飛ぶ理由と飛ばない種類|飛べることを知らないゴキブリの不思議

飛ぶ理由と飛ばない種類|飛べることを知らないゴキブリの不思議
  • ゴキブリは羽を持ち短距離なら滑空できる。ただし基本は歩行で移動
  • 羽は「前翅」「後翅」の二対構造で、成虫のみが飛行可能
  • 飛ぶ理由は主に「危険からの逃避」や「効率的な移動」のため
  • 高温多湿で暗い夏の夜など、条件が揃うと飛ぶ確率が上がる
  • クロゴキブリやワモンゴキブリなど大型種ほど飛ぶ傾向が強い
  • チャバネゴキブリなど小型種は羽が退化しており飛べない傾向
  • 殺虫スプレーをかけられると驚いて飛び立つことがある
  • 飛行距離は2〜3メートル程度で、直線的にしか飛べない
  • 人間を襲うのではなく「高い場所へ逃げよう」として飛んでくるだけ
  • 「飛べることを知らない」という噂は科学的根拠のない都市伝説
  • 幼虫(羽のない個体)は飛べず、飛ぶのは成虫のみ
  • オス・メスどちらも飛行可能だが、オスのほうが飛ぶ機会が多い
  • 飛ぶ際にはブーンやバサバサといった羽音が聞こえることがある
  • ワモンゴキブリなど一部の種類は光に向かって飛んでくる
  • 飛ぶゴキブリには慌てず横に避けるかスプレー対処が効果的

ゴキブリの飛翔にまつわる、様々な疑問や豆知識について解説してきました。普段あまり考えたくないテーマかもしれませんが、知識を持っておくことでいざ遭遇した際の冷静な対応に繋がります。

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ゴキブリが「飛ぶか飛ばないか」は種類と状況次第です。つまりしっかり対策すれば、飛んでこようが歩いていようが怖がる必要は減らせるということ。ぜひ本記事の情報を活用して、苦手なゴキブリへの備えを万全にしてくださいね。

  • この記事を書いた人
管理人suzuka

suzuka

丸眼鏡×害虫オタクの管理人suzukaです!幼い頃に図鑑でゴキブリのフォルムに一目惚れ。今は「害虫ときめき女子」として日々情報発信しています。一緒に害虫の魅力を探究しましょう!

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