ビールの残り香にゴキブリが寄ってくる——そんな話を聞いたことはありませんか?
実は「ゴキブリはお酒が好き」というのは単なる都市伝説ではなく、科学的にも一定の根拠があるんです。発酵によって生まれる甘く強い匂いは、ゴキブリにとってまるでごちそうのような誘惑。そのためビールや日本酒の空き缶を放置しておくと、思わぬ晩酌の客が訪れることもあります。
この記事では、「ゴキブリは本当にお酒やビールが好きなのか」「ビール缶やサーバーに寄ってくる理由」「卵鞘酒の正体」「アルコールを使った駆除法」など、興味深い実例や実験結果を交えながら徹底解説します。

最後まで読めば、あなたのキッチンや晩酌タイムを守るためのヒントがきっと見つかるはずです。
この記事のポイント
- ゴキブリがお酒を好む理由と誘引メカニズム
- 飲み残し・空き缶放置が招くリスクと具体的な対策
- 話題の「卵鞘酒」やビールトラップの仕組み
- アルコール濃度別の駆除効果と安全な使い方
ビール(お酒)はゴキブリを誘引する?卵鞘酒の正体の前に

- ビール(アルコール)が好きって本当?
- ビールの匂いだけでも寄せつける?
- 空き缶に入ることはあるのか
- ノンアルコールビールでも寄ってくる?
- ビールサーバーに引き寄せないために
- ビール缶を放置するリスク
ビール(アルコール)が好きって本当?

はい、ゴキブリは人間のお酒を好む傾向があります。特にビールはゴキブリの大好物で、発酵した強い匂いにつられて寄ってくるのです。
さらに部屋にビールやお酒の残りを放置すれば、ゴキブリだけでなく小バエなども寄ってきてしまいます。私自身もゴキブリの習性を知っているので、飲み終わった缶やグラスはすぐ洗うようにしています。

ゴキブリ好きの私としては、「人間と同じでゴキブリもお酒が好きなんだなあ」と妙に感心してしまう話でもあります。
ビールの匂いだけでも寄せつける?

ビールそのものを置いていなくても、匂いだけでゴキブリは十分誘引されます。ゴキブリは視力があまり良くない代わりに嗅覚が発達しており、強い匂いのするものを好む傾向があるのです。
ビールの空き缶から漂う発酵臭や甘い香りは、ゴキブリにとって格好の「道しるべ」。例えば私は以前、飲み残しが少し入った缶ビールをうっかり部屋に置きっぱなしにしてしまったことが。

あなたの想像通り、翌朝その缶の周りには1匹のゴキブリがウロウロと・・・寝起きだったこともあり大変に驚いた経験でしたが、匂いだけで見事に引き寄せられた典型的な例でしょう。
匂いを嗅ぎつけたゴキブリは、たとえ微かなビールの香りでもエサだと判断して近寄ってきます。ゴキブリに家へ来てほしくなければ、飲み終わった容器はしっかり洗い、“匂いを残さない”ことが肝心です。
空き缶に入ることはあるのか

はい、ビールの空き缶や瓶にゴキブリが入り込んでしまうこともあります。飲み終えて少量の残りがある缶は、中が湿って甘い匂いが充満しているため、ゴキブリが中まで入り込んでしまうケースがあるのです。
空き瓶をそのまま放置していたら、中にゴキブリが入っていたという報告や経験談はSNS上でもたくさん。私も前述のとおり缶ビールを置きっぱなしにしてゴキブリをおびき寄せてしまったことがありますが、運が悪ければゴキブリがそのまま缶の飲み口から内部に侵入していたかもしれません。
ノンアルコールビールでも寄ってくる?

アルコール分が入っていないノンアルコールビールであっても、ゴキブリは寄ってくる可能性があります。ゴキブリを惹きつける主な要因はアルコール度数ではなく「匂い」と「糖分(甘み)」だからです。
「アルコール0%だから安全」と考えて飲み残しを放置すると、結局はゴキブリを呼び寄せてしまう結果になりかねません。ジュースや清涼飲料水でもゴキブリは集まりますので、アルコールの有無に関わらず飲み物の残りは放置しない方がよいでしょう。
ビールサーバーに引き寄せないために

近年は家庭用のビールサーバーも普及してきましたが、ビールサーバー周辺にもゴキブリが寄ってくる可能性があります。サーバー内部のホースやノズルにビールの液や泡が残っていると、その匂いにつられてゴキブリが近寄ったり内部に侵入したりする恐れがあるのです。

業務用のビールサーバーでは、深夜にチャバネゴキブリ(小型のゴキブリ)がホース内に入り込んでしまった例も報告されています。なので家庭用とはいえ油断はできません。
ビールサーバーにゴキブリを寄せ付けないポイントとしては、以下のような対策が有効です。
使用後はすぐ清掃をする:サーバーの注ぎ口や受け皿(ドリップトレイ)にビールがこぼれたままにならないよう、その都度洗浄しましょう。ホース内も水通しして、ビールの残滓(ざんさい)を残さないことが大切です。
機器を清潔・乾燥に保つ:ゴキブリは湿気や汚れを好むため、サーバー本体を定期的に拭き掃除し、ベタつきやビールの臭いを残さないようにします。使用後は可能であれば分解して乾燥させ、ホース内も空気を通して乾かしておきましょう。
設置場所に注意する:キッチンの隅や暗がりなどゴキブリが潜みやすい場所にサーバーを置いている場合は、周辺も含め清潔に保ちます。サーバー周囲に、段ボールや古新聞などを放置しないことも大事です(ゴキブリの隠れ家になります)。
家庭用ビールサーバーは手軽に生ビールを楽しめる反面、手入れを怠るとゴキブリにとっても快適な「ビアバー」になりかねません。せっかくのビールを美味しく安全に楽しむためにも、日頃からサーバーの衛生管理を徹底してゴキブリを寄せ付けないようにしましょう。
ビール缶を放置するリスク

飲み残しの入ったビールや酒の空き缶をそのままにしておくことには、ゴキブリを誘引する以外にも様々なリスクあり。特に暑い季節では、残った液体がすぐに傷んでしまうため注意が必要です。

空き缶を放置することで起こり得る、主なリスクを表にまとめました。
| リスク・害発生例 | 内容・対策 |
| 害虫の誘引 | 甘い発酵臭によって、ゴキブリや小バエ(ショウジョウバエ)などが集まりやすくなります。実際にビールの空き缶はゴキブリの大好物なので、放置は厳禁。飲み残しは流し、容器は水洗いしましょう。 |
| カビの発生 | 夏場を中心に、缶の中に残ったビールやジュースが腐敗してカビが生えることがあります。缶内部は洗えないため、放置すると不衛生。臭いも強くなるため、衛生上すぐに処理するのが理想です。 |
| 悪臭・害獣の誘因 | 発酵や腐敗が進むとアルコールや糖分が分解されて、ツンとした悪臭を放ちます。その臭いはゴキブリ以外にもアリなどを引き寄せたり、屋外ではネズミなど害獣を誘因する可能性も。室内外を問わず、悪臭の元は早めに断つべきでしょう。 |
飲み終わった缶や瓶は、内容物を捨てて軽くすすいだ上でフタをし、早めにゴミに出すのが鉄則。特に夏場は痛みやすいので「後で片付けよう」は禁物。わずかな手間を惜しんで放置すると、衛生面でも害虫対策の面でも大きな代償を払うことになりかねません。
ゴキブリと酒・ビール雑学|あなたは卵鞘酒を飲める?

- ゴキブリ酒(卵鞘酒)とは
- ビールトラップとは
- ゴキブリもビールに酔う?
- 駆除するためのアルコール濃度(度数)
- ゴキブリの苦手なもの
ゴキブリ酒(卵鞘酒)とは

あなたは「ゴキブリのお酒」と聞いて驚くでしょうか。実はゴキブリの卵鞘(らんしょう)を使って作られた日本酒、その名も「卵鞘酒(らんしょうしゅ)-Good Old Koji Idea-」というものが存在します。
農業大学が舞台の漫画『もやしもん』や昆虫食の本『虫の味』にも登場する架空のお酒ですが、2022年にそれを再現するプロジェクトが実際に行われました。【福島県南相馬市】のクラフト酒蔵「haccoba」と東京の昆虫食レストラン「ANTCICADA」がコラボし、ゴキブリ(トルキスタンゴキブリ)の卵鞘を原料に使った日本酒を開発・発売したのです。
出来上ったお酒は赤みがかったブラウン色で、焙煎した米麹由来のカラメルのような香ばしい甘さと、微かにバナナのような香りが特徴とのこと。口に含むととろりとした甘みと旨味が広がり、後味にはビターな余韻も感じられる非常にユニークなお酒だそうです。
500mlで税込2,640円という価格で数量限定販売され、話題を呼びました。卵からお酒を作るという発想には驚かされますが、ゴキブリへの好奇心旺盛な私としては「ぜひ一度味わってみたい!」と思っています。

ちなみにあなたは、この卵鞘酒・・・飲んでみる勇気はありますか?
ビールトラップとは

ビールを利用してゴキブリをおびき寄せ、捕まえてしまおうという「ビールトラップ」があります。ゴキブリの好物であるビールで誘因し、容器の中に落として捕獲・駆除する自作の罠です。
市販の毒エサやホイホイとは異なり、身近な材料で手軽に試せるのが利点。ここでは一般的なビールトラップの作り方をご紹介します。
①容器を用意する:口の広めな瓶やコップ、ボウルなどを用意します。ペットボトルを利用する場合は上部を切り取って漏斗状に逆さまにはめ込むと、ゴキブリが出にくくなるでしょう。
②ビールを入れる:容器の底にビールを1~2センチ程度注ぎます。飲み残しのビールでも構いません。ゴキブリが溺れて駆除できるよう、できれば液体は少し深さを持たせてください。より誘引力を高めたい場合は、刻んだタマネギなどゴキブリの好物を少量入れても効果的です。
③逃げ出し防止の工夫:容器の内側の上部(フチ周辺)にサラダ油やバターを薄く塗っておくと、ゴキブリが滑って容器から這い上がれなくなります。または容器の外側に段ボールや布を巻き付けて登りやすくし、内側はつるつるのままにしておく方法も有効です。
④設置場所:ゴキブリの出そうなキッチンの隅や流し台の下、冷蔵庫の裏などに夜間仕掛けておきます。部屋を暗くして静かにし、一晩そのまま待ちます。
⑤回収と処分:翌朝、容器の中にゴキブリが入っているか確認します。溺死していればそのまま排水口に流すか、袋に入れて可燃ゴミに出しましょう。生きている場合も蓋をして逃げないよう密閉し、そのまま処分するか熱湯を注いで始末します。

私も過去にこのビールトラップを試したことがありますが、思った以上にうまく捕獲できて驚きました。何匹もプカプカとビールに浮かんでいた光景は、ゴキブリ好きにとっては少々複雑な気持ちになるものです。
ただ市販の毒エサと違ってペットや子供への害も無く、安全に駆除できるのは優れている点。ビールトラップは完全な撃退策とはいえませんが、「最近ゴキブリを見かけるけど、市販の殺虫剤は使いたくない」という場合に一度試してみる価値はあるでしょう。
ゴキブリもビールに酔う?
こちらはゴキブリ専門サイト「ゴキラボ」とアース製薬が共同制作した、YouTube動画『【実験】ゴキブリは酔っぱらう?ビールで検証』です。
この動画では、ビールの入った小さな容器に3匹のクロゴキブリを入れて、ゴキブリが酔っぱらうかどうか実験しています。結果は・・・意外にも「ゴキブリはビール程度では酔っぱらわない」というものでした。
昆虫は人間とは代謝の仕組みに相違点があるため、少量のアルコールでは酔わないのかもしれません。いずれにせよ、「ゴキブリもお酒を飲んで酔っぱらうのでは?」という疑問に対して、この実験はひとつの答えを示しています。

残念(?)ながら、ゴキブリと晩酌を交わせる日は来なさそうですね。
駆除するためのアルコール濃度(度数)

「ゴキブリにアルコールをかけると死ぬ」と聞いたことがある人もいるかもしれません。でもビールや日本酒といったアルコール飲料にはゴキブリが寄ってくるって、一体どういうことなのでしょうか。

実はポイントはアルコールの濃度にあり。ゴキブリ退治に効果を発揮するアルコールは、度数が高いものでなくてはなりません。
目安として、アルコール度数60~80%程度のものがゴキブリ駆除に適しています。消毒用エタノール(70~80%前後)や度数の高いお酒(スピリタスなど)はここに該当します。
実際、アルコールはゴキブリが好む成分でもあるため、中途半端な濃度では誘引効果の方が勝ってしまうのです。ゴキブリにスプレーして駆除したい場合は、消毒用エタノールなど最低でも60%以上のアルコールを使用しましょう。
それ未満の濃度ではゴキブリの気門(呼吸口)を塞ぐ前に蒸発してしまい十分な効果が得られませんし、誤って誘引してしまうリスクもあります。逆に高すぎる度数(90%以上)も揮発が早すぎて不向きなので、適切な範囲内で使うことが重要です。

なおアルコール噴霧は引火性に注意が必要なので、絶対に火気のない場所で行ってください。
ゴキブリの苦手なもの

ここまで「ゴキブリはお酒が好きで寄ってくる」という話題を中心に扱ってきましたが、では逆にゴキブリが嫌うもの・苦手にしているものはあるのでしょうか。実はゴキブリには、意外な天敵(苦手な要素)がいくつも存在します。
これらを上手く利用すれば、ゴキブリ対策に役立てることも可能。最後に、ゴキブリの苦手なものをいくつかご紹介します。
塩(塩水):
ゴキブリは塩分を嫌います。食塩を摂取すると脱水症状のようになり最終的に死んでしまうためで、塩そのものがゴキブリにとって一種の毒になるのです。台所などに塩を置いておくとゴキブリ除けになるという話もありますが、湿気で塩が固まると効果が薄れるため、塩水をスプレーしておく方法も使われています。
レモンなど柑橘類:
柑橘系の香りもゴキブリは苦手です。レモンの皮を絞った汁にはリモネンという成分が含まれており、ゴキブリにかけると動けなくなるほど強力。市販のゴキブリ忌避剤にも、柑橘由来の香料が使われることがあります。部屋にレモンの皮を置いたり、柑橘系のアロマオイルを数滴垂らしたりするのも忌避効果が期待できます。
ハーブ類(ハッカ油など):
ミント・ローリエ・ヨモギといった、ハーブの香りもゴキブリは嫌がります。例えばハッカ油(ペパーミントオイル)のスプレーはゴキブリ対策の定番。爽やかな香り成分がゴキブリの神経に作用し、近寄らなくすると言われます。キッチンの換気扇周りや玄関周辺にハーブの匂いを置くと、多少の防除効果が見込めるでしょう。
寒さ・乾燥:
生き物ですから、環境的に苦手な条件もあり。ゴキブリは暖かく湿った場所を好むため、逆に低温の環境や乾燥した場所は動きが鈍くなります。冬場にゴキブリの活動が下火になるのはこのためです。冷蔵庫から取り出した野菜室にゴキブリが潜んでいて動きが鈍くなっていた・・・なんて例もあるくらい。部屋を適度に低温・乾燥に保つことも、ゴキブリ対策としては有効です。
こうしたゴキブリの嫌がる要素を活用しつつ、先述のお酒や食べ物の放置を避ける対策と組み合わせれば、より一層ゴキブリの寄り付きにくい環境を作れるはず。ゴキブリの好きなもの・嫌いなものを知って上手に利用し、快適な空間を守っていきたいですね。

ゴキブリマニアの私としても、できればお互い無益な戦いをせずに済む環境づくりを目指したいものです。人もゴキブリもハッピーに暮らせる日は、果たして来るのでしょうか?
まとめ:酒とゴキブリの関係性|ビール好きの真相から卵鞘酒まで

- ゴキブリはビールや日本酒の発酵臭・甘い香りに強く惹かれる習性あり
- 飲み残しのビール缶や酒瓶を放置すると誘引効果・侵入リスクが高まる
- ゴキブリは嗅覚が鋭いため、匂いだけでも寄ってくることがある
- ノンアルコールビールでも匂いと糖分があるため油断できない
- 空き缶や瓶の中に入り込んで溺死するケースあり。衛生面で注意が必要
- 家庭用・業務用問わず、ビールサーバーは清潔・乾燥を保つことが重要
- ビールやお酒を放置することでカビ・悪臭・害虫・害獣の誘発リスクに
- ゴキブリ卵鞘入りの日本酒「卵鞘酒(らんしょうしゅ)」が話題に
- ビールトラップは身近な材料で作れる安全なゴキブリ駆除法
- ゴキブリはビール程度のアルコールでは酔わないが匂いに興味を示す
- 駆除目的ならアルコール度数60~80%の消毒用エタノールが効果的
- アルコール濃度が低いと殺虫よりも誘引効果が強くなるので注意
- ゴキブリは塩・柑橘類・ハーブ・寒さ・乾燥を苦手としている
- お酒の匂いを断ち、清潔で乾いた環境を維持することが予防策の基本

ゴキブリの“好きなもの・嫌いなもの”の両方を知ることで、快適で衛生的な空間づくりが可能になりますよ。
