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スズメバチの名前の由来&種類別の特徴まとめ「なぜスズメ?」をズバッと解決!

スズメバチの名前の由来&種類別の特徴まとめ「なぜスズメ?」をズバッと解決!

スズメバチという名前を聞いて、「なぜ蜂なのにスズメなの?」と不思議に思われたことはないでしょうか?

漢字で「雀蜂」と書かれるこのハチは、実は体の大きさや巣のシマ模様からの連想により、昔の人の観察眼と感性が由来に込められた命名なのです。

また「胡蜂」という別の漢字表記も存在し、地方によっては呼び名も異なるなど、名前ひとつ取っても奥深い歴史が感じられます。さらに英語では「hornet」や「wasp」といった言葉が使い分けられることから、日本に限らず世界各地で知られる存在であることも分かるでしょう。

この記事ではそんなスズメバチの名前の由来を詳しく解説するとともに、オオスズメバチやキイロスズメバチなど代表的な種類ごとに、特徴や生態をわかりやすくまとめています。

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読めば「スズメバチ」という名前に隠された意味や物語を知ることができ、自然観察がもっと楽しくなること間違いなしですよ。

この記事のポイント

  • スズメバチの名前に「スズメ」が入った由来を主要な説から理解できる
  • 「雀蜂」「胡蜂」など複数の漢字表記や地方名の違いを知れる
  • 英語でのhornetとwaspの使い分けや、代表的な種類の英名が分かる
  • 日本を含む世界各地に生息するスズメバチの多様性や種類別の特徴を学べる

スズメバチの由来|種類の解説の前に「なぜスズメ」かを理解する

スズメバチの由来|種類の解説の前に「なぜスズメ」かを理解する
  • 雀蜂の名前にスズメが入っている理由
  • 2種類の漢字がある?
  • 英語では「hornet」or「wasp」
  • 生息するのは日本だけ?
  • スズメを食べるって本当?
  • スズメバチ同士の縄張り争い

雀蜂の名前にスズメが入っている理由

雀蜂の名前にスズメが入っている理由とは。由来を解説

スズメバチは漢字で「雀蜂(すずめばち)」と書きますが、その名の由来には大きく分けて2つの有力な説があります。一つは「スズメのように体が大きい蜂」という説、もう一つは「巣の模様がスズメの羽毛の模様に似ている蜂」という説です。

昔の人々がこの蜂を初めて見たとき、その大きさや巣の見た目から連想して名付けたのでしょう。実際に彼らは他のハチに比べて体格が立派で、オオスズメバチでは女王バチの体長が約4~5cmにも達します。一方で鳥のスズメの全長は約14~15cmと蜂よりずっと大きいので、「雀ほども大きい」というのはあくまで大げさな比喩なのです。

とはいえ私自身も秋に林でオオスズメバチがブーンと飛ぶ姿を見たとき、その迫力は小鳥にも負けないものがありました。スズメバチが迫ってくると実際以上に巨大に感じられるものですから、この例えにも頷ける気がします。

もう一つの「巣の模様」説についても、スズメバチの巣は木の皮を噛み砕いて作った紙状の層が重なり合い、茶色とクリーム色の縞模様ができる点が特徴。その縞模様がまるでスズメの羽根の模様に似ているため、「雀蜂」と名付けられたとも言われます。巣のデザインに注目するなんてユニークですが、自然の中の似た模様に名前を見出すのは昔の人の感性らしいですね。

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ちなみに私が子供の頃、実家の庭で見つけたスズメバチの古い巣を観察したことがありますが、茶色いシマ模様が鳥の羽みたいに見えて「なるほど、だからスズメなのか!」と妙に納得した記憶があります。

2種類の漢字がある?

スズメバチは2種類の漢字があるって本当?

結論から言うと本当です。スズメバチには先ほど紹介した「雀蜂」のほかに、もう一つ別の漢字表記「胡蜂」があります

後者は中国由来の漢字表記で、日本では「こほう」と読むこともあります。つまり、スズメバチは「雀蜂」とも書けますし、「胡蜂」とも書けるわけです。

それぞれ意味合いは違いますが、どちらも現在のスズメバチを指す言葉。ただし日常的には「雀蜂」と書かれることが多く、「胡蜂」は専門的な文脈や昆虫図鑑などで見かける程度かもしれません。

また余談ですがスズメバチには、地方によって「クマンバチ」や「ヤマバチ」など異なる呼び名も存在します(ただしクマンバチと呼ばれるハチの中には、クマバチという全く別の種類も含まれるので注意が必要です)。※1

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このように漢字表記や呼び名一つとっても、スズメバチの名前には歴史と地域性が感じられますね。

※1.「クマバチ」ってどんな蜂?

クマバチの特徴
出典:独立行政法人 東京文化財研究所

クマンバチと呼ばれる蜂が、日本には2種類います。ここではスズメバチじゃない方、つまり「クマバチ」について触れておきたいと思います。

【分布】
全日本的に分布

【形態的特徴】
色:主に黒色で胸の部分に黄色い毛が密生している
大きさ:2cm~5㎝ほど
特徴:全身が毛におおわれている

独立行政法人 東京文化財研究所「クマバチ(キムネクマバチ)」

画像を見ればお分かりのように、スズメバチとは全く違う姿をしています。なので呼び名こそ同じでまぎらわしいですが、見た目で混同してしまうことはないでしょう。

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また獰猛な性格のスズメバチに対し、クマバチは非常におとなしいのも特徴の一つ。私たちが無理につかんだりしない限り、刺される危険性もほぼありません。

英語では「hornet」or「wasp」

スズメバチは英語でhornetで合ってる?

日常会話でスズメバチを英語に訳す場合、“hornet” (ホーネット) でほぼ間違いありません。ただ、英語圏では“wasp” (ワスプ) という単語も頻繁に使われます。

この違いを簡単に説明すると「wasp」はハチ全般を指す広い言葉で、その中にスズメバチ科の「hornet」が含まれるイメージ。つまりホーネットは大型で攻撃的なスズメバチ類を指し、アシナガバチなど他のハチは単にワスプと呼ばれます。

一例を挙げると、英語の生物図鑑ではオオスズメバチは “Asian Giant Hornet” と表記されますし、キイロスズメバチは “Yellow Hornet” と紹介されることがあります。逆に身近なアシナガバチは “paper wasp”(紙のような巣を作るハチ)という別名で呼ばれ、ホーネットとは区別されるのです。

このように英語では単語の範囲が日本語と少し異なるので、スズメバチ全般を指すときはhornet、ハチ全般を漠然と指すときはwaspを使い分けると良いでしょう。

では日本に生息する主なスズメバチを英語で何と呼ぶか、代表的な種類について対応する英名を一覧にしてみます。以下の表では、日本語名と英語名を対応させています(学名や細かい説明は省略しますが、一般的な英名を記載します)。

日本語名(和名)英語名 (一般的な名称)
オオスズメバチAsian giant hornet (アジアン・ジャイアント・ホーネット)
キイロスズメバチYellow hornet (イエロー・ホーネット)
ツマアカスズメバチYellow legged hornet (イエロー・レッグド・ホーネット)
ツマグロスズメバチLesser banded hornet (レッサー・バンデッド・ホーネット)
ヒメスズメバチBlack-tailed hornet (ブラックテールド・ホーネット)
モンスズメバチEuropean hornet (ヨーロピアン・ホーネット)
クロスズメバチBlack hornet (ブラック・ホーネット) ※実際はヤドルリバチ属
チャイロスズメバチBrown hornet (ブラウン・ホーネット)
コガタスズメバチYellow-vented hornet (イエロー・ヴェンテッド・ホーネット)

※上記は代表的な英名の一例です。同じ種類でも文献や地域により呼称が異なる場合あり。また「クロスズメバチ」は厳密には英語圏で確立した俗称がないため便宜上 Black hornet と記載しましたが、欧米では“yellowjacket”(ヤドリバチ類)と呼ばれるグループに含まれます。

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各スズメバチの画像と特徴は、後半のコーナーで紹介しています。あなたが気になったハチはどれですか?

生息するのは日本だけ?

スズメバチが生息するのは日本だけ?

上記で英語名について解説しましたが、生息は日本だけではありません。スズメバチ(ホーネット類)はアジア・ヨーロッパ・アフリカなど広く分布しており、決して日本固有の生き物ではないのです。

またスズメバチ属の多様性の中心は東南アジアですが・・・ヨーロッパにもヨーロピアンホーネット(モンスズメバチ)が古くから生息していますし、近年では人為的な移入によって北米や南米・オセアニアなど本来いなかった地域にまで広がりつつあります

たとえば日本でも外来種とされるツマアカスズメバチが、アジア原産ながらヨーロッパ各地をはじめ世界中に勢力を拡大しています。

このようにスズメバチ自体は世界各地にいますが、種類によって生息域が異なるということ。ちなみに現在の日本には、17種ほどのスズメバチ類が確認されています。

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一方でヨーロッパ原産のモンスズメバチが日本にも分布するなど、「アジア→世界」の例外も。いずれにせよ「スズメバチ=日本だけのもの」という認識は誤りで、世界の温帯~熱帯地域に幅広く生息する昆虫だと言えます。

スズメを食べるって本当?

スズメバチはスズメを食べる?

名前に「スズメ(雀)」が入っているせいか、「スズメバチはスズメを襲うの?」と尋ねられることがあります。結論から言えば、スズメバチがスズメ(野鳥)を積極的に捕食することは通常ありません

スズメバチの主なエサは、花の蜜や昆虫(成虫と幼虫で異なる)。働きバチたちは狩りで得た他の昆虫(バッタやチョウ・ハチ・クモなど)を、肉団子にして巣に持ち帰り幼虫のエサにします。例えばオオスズメバチはカマキリのように自分より大きな昆虫ですら捕まえてしまいますし、ツマアカスズメバチはミツバチを空中で捕えるほど素早いハンターです。

一方スズメのような小鳥は俊敏で翼がありますし、スズメバチの獲物として想定されていません。小鳥を狙う動機がない上に、そもそも体格差があり過ぎて太刀打ちできないでしょう。

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私も今までに、野外でスズメバチが鳥を襲っている場面に出会ったことはありません。ただしスズメバチは時に、動物の死骸や人間の食べ残しの肉片に集まることがあります。

実際、地中に巣を作るクロスズメバチなどは、動物の死肉から筋肉を切り取って幼虫に与える肉団子を作ることもあり。とはいえそれはあくまで「落ちている肉」を利用しているだけで、自分より大型の生きた鳥を追いかけて食べる習性はないのです。

スズメは何を食べる?

雀は大麦を食害する
大麦(出典:農林水産省)

せっかくなので、「スズメが何を食べて生活しているのか」についても触れておきたいと思います。

主に種子食で、特にイネ科、タデ科、キク科などの小粒状の乾いた種子を好む。動物質ではチョウやガの幼虫や成虫、甲虫、バッタなどの小型の昆虫やクモ類などを食べる。

農林水産省「スズメ 2-2-4」

メインは農作物の種子ですが、小さな虫も食べるということですね。ちなみに見た目のかわいさとは裏腹に、農家にとっては米や麦・果樹などを食い荒らす害鳥という位置付けです。

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近年では営巣場所の不足などを理由に、全国的に個体数を減らしていることも覚えておきましょう。

>>スズメバチを好んで食べる鳥の正体とは?生息地~刺されない理由まで徹底解説

スズメバチ同士の縄張り争い

スズメバチ同士での縄張り争いは起こる?

スズメバチは種によって生活圏や習性が異なるため、ときに種同士で競合や闘争が見られます

代表的なのはオオスズメバチと他のスズメバチの関係。オオスズメバチは秋になると非常に攻撃的になり、自分たちの幼虫のエサを確保するため、ミツバチの巣だけでなく他のスズメバチ類の巣を襲撃することがあります。

実際にオオスズメバチが集団でキイロスズメバチやモンスズメバチの巣を襲い、中の成虫を全滅させてしまうことさえあります。これは縄張り争いというよりエサや資源をめぐる種間競争ですが、結果的にスズメバチ同士の戦いになります。

またチャイロスズメバチのように、他種の巣を乗っ取る特殊な種もいます。このチャイロスズメバチは新女王バチが単独でキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に侵入し、女王を排除して乗っ取ってしまいます。乗っ取られた巣では以後チャイロスズメバチの女王が産卵し、自分の働きバチを育てるという社会寄生が行われます。

さらにオオスズメバチは樹液の出る木を自分の縄張りのように占有し、そこに来た他のスズメバチを追い払うことも。私も森のクヌギの木でオオスズメバチとコガタスズメバチが鉢合わせし、オオスズメバチが威嚇して追い払ったシーンを見たことがありますが・・・とても迫力満点な光景でした。

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以上のようにスズメバチ同士でも、エサ場や巣をめぐって争いが起こることは珍しくありません。ただし普段私たちが目にする機会は少ないため、あまり知られていない習性といえるでしょう。

「なぜスズメ」はOK!次はスズメバチの名前の由来を種類別に学ぶ

「なぜスズメ」はOK!次はスズメバチの名前の由来を種類別に学ぶ
  • オオスズメバチ
  • キイロスズメバチ
  • ツマアカスズメバチ
  • ツマグロスズメバチ
  • ヒメスズメバチ
  • モンスズメバチ
  • クロスズメバチ
  • チャイロスズメバチ
  • コガタスズメバチ

オオスズメバチ

オオスズメバチの名前の由来と特徴
出典:九州大学

オオスズメバチは漢字で「大雀蜂」と書き、その名の通り大きなスズメバチ。日本のみならず世界最大のスズメバチで、女王バチは体長5cm近くにもなります。名前の「オオ(大)」はこの圧倒的な大きさに由来しており、「雀蜂」の中でも別格のサイズ感を持つことを強調しています

成虫は働きバチでも3~4cmほどあり、その巨体とオレンジと黒の鮮やかな警戒色から、自然界ではまさに蜂の王者という風格。私の害虫好きの友達は「オオスズメバチに遭遇すると、お相撲さんの親指に羽が生えたみたいに見える」と表現していましたが、それもうなずけますね。

彼らは非常に攻撃的かつ毒性が強いことで知られ、巣に近づくだけで集団で襲ってくる場合も。「スズメバチ=命に関わる危険な蜂」というイメージは、主にこの種によるものです。巣は地中や樹洞など見つけにくい場所に作られ、働きバチが最大で数百匹規模にもなります。

また肉食性が強く、昆虫ハンターとしても一流。バッタやセミはもちろん、自身より大きなカマキリさえも仕留めることがあります。さらに秋口にはミツバチの巣を襲撃して幼虫や蜂蜜を奪うことでも知られ、養蜂業への被害も毎年のように確認されています。

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こう聞くと怖い蜂ですが、一方で森の生態系では頂点捕食者として重要な存在。毒針を持たないオスや、新女王バチが餌場で樹液をなめている姿は無害で、私のようなハチ好きから見るとその堂々たる姿には畏敬の念すら覚えます。名前の由来はシンプルですが、その名に恥じぬ日本最強クラスのスズメバチなのです。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチの名前の由来と特徴
出典:森と水の郷あきた

キイロスズメバチの漢字表記は「黄色雀蜂」。その名の通り体の色が黄色っぽいことに由来しています。他のスズメバチに比べて全体に明るい黄橙色をしており、飛んでいる姿も黒と黄の縞模様というよりほぼ黄色一色に見えるほどです。

この鮮やかな体色から「キイロ」の名が付き、和名として定着しました。北米に持ち込まれた際にも、 Yellow Hornet(黄色いスズメバチ)と紹介された例があります。

この蜂は日本で人間と最もトラブルが多いスズメバチかもしれません。彼らは中型のスズメバチでありながら、非常に攻撃的な性質を持ちます。巣に近付くだけでいきなり刺しに来ることもあるため、注意が必要です。

巣は森林だけでなく家屋の軒下や屋根裏・看板の裏など、人間の生活圏にもよく作られます。働きバチの数が最大で数千匹規模に増えることもあり、巣を刺激すると大群に襲われかねません。そのため刺傷被害件数も多く、ニュースで「スズメバチに刺された」と報じられるケースの多くはキイロスズメバチによるものです。

私の経験でも、山間部より都市近郊でスズメバチを見かけた際は大抵この種類。実は駆除の依頼数も非常に多く、ある専門業者の話では全体の7割近くがコガタスズメバチとキイロスズメバチの巣だとか。名前どおり見た目は綺麗な黄色い蜂ですが、その振る舞いはかなり荒っぽい“武闘派”と言えるでしょう。

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一方で生態系においては、他の昆虫(害虫)を捕食してバランスを保ってくれる益虫的な側面もあり。名前の由来は単純ですが、その存在は人間社会にとって良くも悪くもインパクト大な蜂なのです。

ツマアカスズメバチ

ツマアカスズメバチの名前の由来と特徴
出典:環境省

名前の「ツマアカ」は“先端が赤い”ことを意味しており、その由来はまさに腹部(お尻)の先が赤橙色を帯びている独特の体色にあり。脚の先端も黄色く染まっていて、黒っぽい体とのコントラストが鮮やかな蜂です。

和名だけ見ると似た響きのツマグロスズメバチと混同しそうですが、実際の姿は全く異なります。ツマアカスズメバチはフランスや韓国でもニュースになるほど注目されている種類で、英名では“Yellow-legged Hornet”(イエロー・レッグド・ホーネット)とも呼ばれます。これは脚先が黄色い特徴にちなんだ名称ですね。

この蜂は本来、日本には生息していなかった外来種。もともと中国南部や東南アジア原産で、2012年に長崎県対馬市で日本初確認されました。繁殖力と適応力が非常に高く、あっという間に分布を広げるため、環境省から特定外来生物に指定されています。

幸い国内では今のところ対馬以外に定着は確認されていませんが、福岡や山口など九州本土でも個体の発見例があり、侵入直後に駆除が行われています。

また在来のスズメバチに比べて体が一回り小さく(働きバチで約2cm)、色も全身ほぼ黒っぽいのが特徴。その体格にもかかわらずミツバチなどを巧みに捕らえるハンターで、巣の前でホバリングして戻ってくるミツバチを次々と空中で捕まえる様子が観察されています。

巣は高い木の上などに大型のものを作り、形がいびつで表面がデコボコした特徴があります。攻撃性もかなり強いと言われ、人への被害も懸念されています。名前の由来となった赤いお尻はパッと見おしゃれですが、その生態は侵略的で侮れません。

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私も対馬で巣の調査映像を見たのですが、在来のスズメバチにはない不気味さを感じました。現在進行形で対策が講じられている種ですので、ニュースなどで名前を見かけたら要チェックですね。

ツマグロスズメバチ

ツマグロスズメバチの名前の由来と特徴
出典:九州大学

ツマグロスズメバチの由来は、名前の通り腹部(お尻)の先端部が黒く見えること。同じ「ツマ○○」でも、先端が赤いツマアカ~とは対照的ですね。

実際のツマグロスズメバチは黒というより、明るいレモンイエローの体色に黒い帯模様が入った美しい蜂です。和名から受ける印象とは異なり、ぱっと見は「これもスズメバチなの?」と思うほど鮮やかな黄色。このギャップについては名付けた当時の研究者も、少し紛らわしいと感じたかもしれませんね。

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彼らは日本では、南西諸島(沖縄県の宮古島以南)にのみ生息する南国のスズメバチ。英名では“Lesser Banded Hornet”(レッサー・バンデッド・ホーネット)と呼ばれ、東南アジアを中心に分布しています。

日本本土には自然分布しておらず、関東や関西で見かけることはまずありません。そのため一般知名度は低いですが、沖縄では普通種として存在感を放っています。

特徴としては夜行性ではありませんが、他のスズメバチより比較的おとなしいとされています。現地の研究者の話でも、ツマグロは人を積極的に襲うことは少ないとのことでした。ただし刺激すれば当然刺されますので油断大敵ですが・・・。

巣は木の枝や茂みに作り、規模はそれほど大きくならないようです。また本土にいるオオスズメバチやキイロスズメバチなどとは生息域が被らないため、直接の縄張り争いも起きません。

私も沖縄旅行中に運良く実物を見る機会がありましたが、キイロスズメバチより一回り小柄で、鮮やかなレモン色が南国の陽射しに映えてとても綺麗でした。「これがあのツマグロか!」と感動したのを覚えています。

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名前の黒い部分ばかりに注目すると実像とギャップがありますが、そのユニークな命名も含めて興味深いスズメバチです。

ヒメスズメバチ

ヒメスズメバチの名前の由来と特徴
出典:森と水の郷あきた

「ヒメ」と付くからには“小さめでおとなしそう”な印象を受けますが、実際にはスズメバチ科でオオスズメバチに次ぐ大型種。女王バチ・働きバチともに体長はおおよそ25~35mmほどあり、名前に反してかなり立派な体格をしています。

ではなぜヒメなのか諸説ありますが、一説には攻撃性が低めで比較的おとなしめの種であることから、そのような上品(?)な名になったとも考えられます。防衛本能はあるものの自分から積極的に人を襲うことは少なく、刺傷事故も他の凶暴な種に比べると多くありません。

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私も野山でこの蜂に遭遇したことがありますが、こちらが刺激しなければ静かに樹液をなめていただけで、「大きいけどおとなしい蜂だな」という印象。名前の「ヒメ(姫)」はそんな気質を表しているのかもしれませんね。

その特徴は頭部から胸部が黒っぽく、腹部の先端(尻)が真っ黒なところ。この黒いお尻のおかげでオオスズメバチ(尻は黄色)と見分けやすく、英名でも Black-tailed Hornet(黒い尻尾のスズメバチ)と呼ばれます。

巣は地中や木の洞など閉鎖的な環境に小規模なものを作り、コロニーの最大サイズも働きバチが100匹程度とスズメバチ属では最少クラスです。そのため人間と出会う機会も比較的少なく、「知られざる巨体」といった存在。ただし巣を刺激するともちろん襲ってくるので注意は必要です。

ユニークなのは幼虫の餌の好みで、他の昆虫も食べますが特にアシナガバチ類を専門に狩る傾向があります。自分よりやや小型のハチを捕食して育児に使うなんて、同族同士で複雑な関係ですね。総じてヒメスズメバチは“大人しいけど大きい”というギャップのある蜂で、その名前にも少しユーモアを感じます。

モンスズメバチ

モンスズメバチの名前の由来と特徴
出典:千葉県立中央博物館

モンスズメバチは漢字で「紋雀蜂」と書き、“模様(紋様)を持つスズメバチ”という意味合いの名前。腹部には黄と黒の波打つような縞模様があり、この特徴的な模様が名前の由来になったと言われます

英語では “European Hornet”(ヨーロピアンホーネット)と呼ばれ、その名の通りヨーロッパ原産のスズメバチです。日本にいるモンスズメバチはヨーロッパホーネットの亜種にあたり、北海道から九州まで幅広く生息しています。

スズメバチとしては中~大型の体長で、女王バチが約3cm・働きバチなら2~2.5cmほど。外見はキイロスズメバチに少し似ていますが、腹部の模様がよりくっきり波状になっている点などで区別できます。

習性上の大きな特徴は、夜間でも活動すること。多くのスズメバチは夕方以降は巣に戻りますが、モンスズメバチだけは暗くなっても飛び回ることが知られており、夏の夜に灯火に飛来することもあります。夜クワガタ採集をしていた人が、モンスズメバチに刺されたという事例もありますので注意が必要です。

また巣にも特徴があり、巣の底部(下側)が開放された構造。下から巣盤(巣板)が丸見えで、他の種の巣とは見た目が少し異なります。

攻撃性は中程度で人里でもたまに巣を作りますが、キイロスズメバチほど人間と衝突する頻度は高くありません。むしろ里山など自然度の高い環境を好む傾向があり、「環境指標種」として里山の豊かさを示す存在とも言われます。

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私の印象では、森の中でクワガタ採りをしているときに樹液に来ているのをよく見かけます。オオスズメバチほどの威圧感はなく、静かに樹液を舐めている姿はなんだか平和的。名前の「紋」はその美しい模様からですが、欧州生まれの経歴も相まってどことなくエレガントな雰囲気を持つスズメバチです。

クロスズメバチ

クロスズメバチの名前の由来と特徴
出典:森と水の郷あきた

体全体が黒っぽいことからこの名が付きましたが、厳密には黒地に白(クリーム色)の斑紋がある小型のハチ。地方によってはクロスズメバチをまとめて「ジバチ」と呼び、幼虫を食用にする文化もあります。

女王バチでも体長15~18mmほどで、大型のオオスズメバチと比べると親指の先ほどのサイズ感。巣は主に地中に作り、土を何層にも重ねた丸い巣を地中や朽ち木の中に形成します。働きバチの数も数十匹規模と小さなコロニーで、攻撃性もそれほど高くありません

餌はハエや小型の昆虫を巧みに空中で捕まえて肉団子にしますが、一方で動物の死骸から肉片を切り取る scavenger(清掃屋)的な面も持ち合わせています。例えば野外に置いた焼き魚の身から、肉を削って持ち去ることもあるというから驚きです。

人に対しては、巣を刺激しない限り積極的に刺してくることは少なめ。ただし巣が地中にあるため、草刈り中に誤って巣を踏んでしまい刺される・・・という事故がときどき起こっています。

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私も地蜂採り名人の方に同行して巣を掘り出したことがありますが、小さな体ながらも威嚇音を出して立ち向かってくる姿には感心しました。名前の「黒」は体色由来ですが、スズメバチの中では異色の生態を持つ興味深い種です。

チャイロスズメバチ

チャイロスズメバチの名前の由来と特徴
出典:NHK

その名のとおり体の色が茶褐色であることが由来の蜂。他のスズメバチと比べて頭部や胸部が赤茶色っぽく、腹部も暗い茶色を帯びています。

英語名もズバリ Brown Hornet(ブラウン・ホーネット)で、和名と同様に体色にちなんだ呼び名です。茶色いスズメバチなんて珍しい印象ですが、実際に見るとオレンジがかった落ち着いた色合いで、名前負けしない渋いカラーリングをしています。

このスズメバチ最大の特徴は、その特殊な生活史にあり。彼らは他のスズメバチの巣に自ら入り込んで乗っ取ってしまう、社会寄生性の種なのです。

新女王バチが単独でキイロスズメバチやモンスズメバチの初期巣に侵入し、元の女王バチを倒してその巣を乗っ取ります。乗っ取られた巣ではチャイロスズメバチの女王が産卵し、元々いた働きバチたちに自分の子育てをさせるという驚きの戦略です。そのため自分では大きな巣を作らず、巣の規模は寄生先によって様々ですが、多くても働きバチ数百匹程度とされています。

分布は日本ではもともと北海道~本州中部まで確認されていましたが、個体数が少なく生息地は局所的と考えられています。生でお目にかかる機会は専門家でもなかなか無いようで、私もまだ出会ったことがありません。(ただし年々生息域を広げているという報告あり)

攻撃性は決して低くなく、巣を荒らせば集団で反撃してきますので油断はできません。ただし普段人里で大きな巣を構えて暴れるタイプではないため、一般的な脅威度は低いと言っていいでしょう。

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名前の由来「茶色」は一見地味ですが、その生態はスズメバチの中でも異色中の異色。ある意味、名前以上にユニークな存在と言えるかもしれません。

コガタスズメバチ

コガタスズメバチの名前の由来と特徴
出典:三鷹市ホームページ

名前が示す通り“小型のスズメバチ”という意味で、その由来は単純明快、体がオオスズメバチより小さいことから。働きバチの体長は25mm前後と、オオスズメバチに比べると小さめです。

とはいえ全長2cm前後はあるのでハチとしては決して小さすぎるわけではないのですが、あくまでオオスズメバチと比べれば「小型」の部類に入るということですね。和名に「コガタ」とつく昆虫は他にもいますが、コガタスズメバチもまさにサイズに注目して名付けられたわけです。

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ちなみに英名は Yellow-vented Hornet(イエロー・ヴェンテッド・ホーネット)。お尻側(腹部末端)の腹板が黄色っぽいことに由来する名前で、日本の和名とはまた違った視点で面白いですね。

生態の特徴としては、人間社会との距離が近いこと。巣を作る場所が多様で、森林の樹洞から民家の軒下・物置の中、時には地中まで様々な環境に営巣します。巣自体は球状で初期には徳利型(とっくり型)をしていることもあり、比較的小ぶりですが、夏から秋にかけては働きバチが100~300匹ほどに増える中規模コロニーになります。

攻撃性はスズメバチ類の中では中程度とされていますが、防衛本能はしっかりあるので巣に近づけば容赦なく刺してきます。特に民家近くに巣を作られるケースが非常に多く、害虫駆除業者への依頼数はスズメバチ全体の中でも多めだと言われています。

私の身近でも庭木の剪定中に、軒下のコガタスズメバチの巣に気づかず刺されてしまったという話をたまに聞きます。小型とはいえ刺されれば他のスズメバチ同様に激痛と毒症状がありますので、油断はできません。

幼虫の餌は他のスズメバチ同様に昆虫中心。成虫は幼虫が出す栄養液の他、樹液や果実にもよく集まります。秋には新女王バチとオスバチが巣から飛び立ち、新女王は越冬して翌年に備えます。

こうした一連の生活史は典型的なスズメバチのそれですが・・・コガタスズメバチは都市部にも適応しているため、人との接点が非常に多いのです。その意味で「小型」と侮るなかれ、人にとっては身近で注意すべき存在と言えるでしょう。

しかし裏を返せば、庭先などで見かける小さめのスズメバチの多くは本種であるため、見分けがつくようになると慌てず対処が可能。名前のとおりのサイズ感と親しみ(?)やすさから、ある意味スズメバチ入門編とも言える蜂かもしれません。

以上、主なスズメバチ9種類について名前の由来と特徴を解説しました。普段何気なく使っている名前にも、それぞれ意味があり背景があります。「なぜスズメバチはスズメなのか?」という疑問から始まり、種類ごとの豆知識まで理解できましたか?

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スズメという言葉一つ取っても、大きさの比喩であったり模様の連想であったりとロマンがありますよね。さらに各種の名前(オオ=大きい、ヒメ=おとなしい等)にもそれぞれストーリーがあり、害虫マニアの私としてもたまらない「ときめきポイント」なのです。

まとめ:スズメバチはなぜスズメなのか|由来と種類を総括

スズメバチはなぜスズメなのか|由来と種類を総括
  • 雀蜂という名前は体の大きさや巣の縞模様をスズメに例えたことに由来する
  • 「雀蜂」と「胡蜂」の2種類の漢字表記あり。地域や文脈によって使い分けられる
  • 英語では「hornet」が主に使われ「wasp」との違いを理解すると表現が正確になる
  • 日本に限らずアジア・ヨーロッパ・アフリカなど世界各地に広く分布している
  • スズメを捕食することはなく、主に昆虫を狩る肉食性のハンターである
  • オオスズメバチは世界最大級で、強い攻撃性と生態系での役割を併せ持つ
  • キイロスズメバチは黄色い体色が特徴で、人間とのトラブルが最も多い種類の一つ
  • ツマアカスズメバチは外来種。お尻が赤い体色が特徴で拡散が問題視されている
  • ツマグロスズメバチはお尻が黒く、沖縄など南西諸島に生息する珍しい種類
  • ヒメスズメバチは呼び名に反して大型種だが、比較的おとなしい気質を持つ
  • モンスズメバチは欧州原産で「紋様」に由来。夜間活動する珍しい性質を持つ
  • クロスズメバチは小型で黒っぽい体色。地中に巣を作る「ジバチ」とも呼ばれる
  • チャイロスズメバチは茶色の体色と、他種の巣を乗っ取る社会寄生の生態が特徴
  • コガタスズメバチは小型種で都市部でもよく見られ、人との接触が非常に多い種類
  • 名前の背景を知ることで、スズメバチの多様性や自然とのつながりがより理解できる
suzuka
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この記事が、スズメバチへの理解を深める一助になれば幸いです。刺されないよう注意しつつ、ぜひ自然界で彼らを見かけた際は名前の由来に思いを馳せてみてください。ちなみに私はスズメを見るたびに、スズメバチが頭に浮かんできます(笑)それではまた!

>>毒針で刺すのはスズメバチのメスだけ?オスは噛むだけだから安全って本当なの?

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丸眼鏡×害虫オタクの管理人suzukaです!幼い頃に図鑑でゴキブリのフォルムに一目惚れ。今は「害虫ときめき女子」として日々情報発信しています。一緒に害虫の魅力を探究しましょう!

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